終盤まで続く接戦、ヒースのパスカットで幕
11月10日、川崎ブレイブサンダースがホームで三遠ネオフェニックスと対戦。
川崎は試合終盤の試合運びに拙さを見せたが、ニック・ファジーカス、ジョーダン・ヒース、マティアス・カルファニの『ビッグマントリオ』の3ポイントシュート爆発が光り、81-79で勝ち切った。これで同一カード連勝の川崎は11勝3敗、敗れた三遠は開幕14連敗となっている。
三遠は河内修斗ヘッドコーチが「戦術面、コンディショニングの両方」との理由から、前日に36得点と大暴れしたデビン・イーバンクスからカイル・バーロンへのメンバー変更で臨んだ。イーバンクスに比べ俊敏性では劣るが、サイズとフィジカルのあるバローンはリバウンドなどゴール下での身体を張ったプレーで奮闘。ジェシー・ゴーバン、太田敦也とのインサイド陣を軸に粘りのディフェンスを見せた三遠は、第1クォーター残り3分半の時点で9-3と先手を取った。
しかし、第2クォーターに入ると、川崎はこのクォーターでファジーカスが3ポイントシュート3本中3本成功、ヒースが2本中2本成功と長距離砲が火を吹くことで反撃。39-42と互角の展開で前半を終えた。
後半に入っても両チームは譲らずに僅差で試合は進むが、第4クォーター序盤に川崎はヒースの連続3ポイントシュートなど9連続得点で71-64と突き放しにかかる。だが、三遠も本日20得点の西川貴之、13得点の川嶋勇人らの活躍で巻き返し、拮抗したまま試合は最終盤を迎える。
「選手のエナジーが全体的に少し足りなかった」
川崎1点リードで迎えた残り7.3秒、篠山竜青がフリースローを得るが、ここでまさかの2本連続失敗。しかし、ここでリバウンドをつかんだ三遠のバローンが前を走る寺園脩斗に投げたロブパスをヒースがパスカット。これで川崎がなんとか逃げ切った。
今シーズン初勝利をあと一歩で逃した三遠の河内コーチだが、「チームとして40分間戦えた試合だったと思います。強豪の川崎さんから多くを学ぶことができました」と、悔しい敗戦の中にも収穫はあったと語った。
来週はアルバルク東京が相手と難敵との対戦が続く。それでも指揮官が「ディフェンスの強度に、選手の特徴を生かしたプレー。自分たちの外国籍選手はみんなチーム1年目で、それぞれの良さを生かせるプレーができていない。ケミストリーで学ぶべきものがありました」と語るこの2試合で得た教訓を生かし、少しでもチーム力を高めることで連敗を一刻も早く止めたいところだ。
一方、川崎の佐藤賢次ヘッドコーチは、「最後、競った展開で勝ち切れたのはよかったです」と語るも、勝利への充実感ではなく反省が口を出る。「選手のエナジーが全体的に少し足りなかったです。まず、40分間やりきらないといけないことが今日はできないことが多かった。そうなると、こういうゲームになります。ローテーションで足が動いていなかったりとか、リバウンドでボールを見てしまった。そういう細かいところでやりきれなかったのは反省しないといけない。それができていれば第4クォーターの点差が離れたところから、もう少し楽な展開に持ち込めました」
この試合、川崎はいつもに比べるとプレータイムのシェアをせずに戦った。「12人全員を使い、みんなエナジーを出して流れをつないでいくのが理想です」と言う指揮官だが、だからといって理想にこだわりすぎると弊害も生まれてくるのは把握している。今は理想と現実の間で最適解を見つけている途中だ。
「今年のうちの強みを考えると、勢いに乗った時の流れをつかむ爆発力があります。ただ、タイムシェアのところで、少し選手を変えすぎるとその流れをつかむのが難しくなった試合がいくつかある。その辺を見ながら、その結果として今日はこのような使い方となりました」
「これまでの僕たちにはなかったもの」
勝ちはしたが煮え切らない部分も少なくなかった川崎だが、冒頭で触れた『ビッグマントリオ』の長距離砲は満場一致で評価できるもの。この試合、ファジーカスが6本中5本成功、ヒースが6本中4本成功、カルファニが4本中2本成功と、3人揃って高確率で決めたことが一番の勝因だった。
ここまで自己最多のペースで3ポイントシュートを決め、「今も良くなっている感触はある」と、34歳にしてシュートレンジを広げているファジーカスは、こう自信を見せる。
「僕たちにとって強力な武器だ。ビッズマンが全員3ポイントシュートを決められることにより、大きなスペースが生まれる。これまでの僕たちにはなかったものだ」
川崎の次戦は、敵地に乗り込み横浜ビー・コルセアーズとの神奈川ダービーとなる。ゲーム差は開いているが、地区首位決戦であり会場も大きな盛り上がりとなることが予想される。40分間、やるべきことをやりきることで開幕当初の勢いを取り戻したい。