インサイドを強調する策が功を奏する
サンロッカーズ渋谷vs新潟アルビレックスBBの第2戦。試合開始直後に今村佳太が負傷退場したが、オフェンスでインサイドを強調し、最後までディフェンスのインテンシティを保った新潟がオーバータイムにもつれた熱戦を制した。
試合開始わずか2分で新潟をアクシデントが襲う。ドライブした際に足首を負傷した今村がチームメートに抱きかかえられてロッカールームへと下がり、そのままプレー続行不能となった。平均11.6得点を挙げている今村のケガは新潟にとって痛恨のアクシデントだったが、チーム全員がステップアップしてこの穴を埋める。
代わりに入った柏木真介がファーストプレーでラモント・ハミルトンのシュートをアシストすると、鵜澤潤も合わせからゴール下の得点を決める。終盤には五十嵐圭のキックアウトから池田雄一が3ポイントシュートを沈めるなど、控え選手の活躍も光り22-14とリードした。
だが、相手は勝率リーグNo.1のSR渋谷。一度に5人を交代させるなどタイムシェアを徹底し、フレッシュな選手が続々と登場するハイペースに巻き込まれ、徐々に点差が縮まっていく。ベンドラメ礼生の3ポイントシュート、リスタートのミスからセバスチャン・サイズにダンクを決められ、26-27と逆転されてオフィシャルタイムアウトを迎えた。
それでも、24秒バイオレーションを取られ、タフショットを打たされるなど得点は伸び悩んだが、第1クォーターを14点に抑えたディフェンスが機能し、ニック・パーキンズとハミルトンがペイントエリアで加点し、33-29とリードして前半を終えた。
反撃を受けるもギリギリで耐え、延長へ
後半に入っても、オフェンスが機能した新潟のペースが続く。新潟はボールがよく回り選手も連動する中、良いタイミングでインサイドにパスが渡る。パーキンズとハミルトンがともにバスケット・カウントを誘発してインサイドを制圧すると、残り5分には五十嵐が3ポイントシュートを沈めて、この日最大となる13点のリードを奪った。
だが、ここからSR渋谷の反撃が始まる。タイムシェアを徹底したことでフレッシュなベンドラメがギアを上げ、ボールをどんどんプッシュし、ファウルを受けながらフィニッシュまで持っていくなど、第4クォーターだけで11得点の荒稼ぎを見せた。さらにこのクォーターで5本のシュートをすべて決めきったファイ・サンバがインサイドで奮起。そのサンバがオフェンスリバウンドからゴール下をねじ込み、逆転してオフィシャルタイムアウトを迎えた。
その後、逆転を繰り返す一進一退の攻防が続き、残り15秒に新潟がハミルトンのフリースローで80-78と2点をリードした。直後ベンドラメにタフショットを打たせたものの、杉浦佑成にオフェンスリバウンドを取られ、バスケット・カウントを与えて同点に追いつかれた。絶体絶命のピンチだったが、杉浦がこのボーナススローを落としたことで勝負は延長に持ち込まれた。
「ウチのほうがインサイドでは分がある」
命拾いした新潟は再びインサイドを強調。第4クォーターにライアン・ケリーがファウルアウトになり、弱体化したSR渋谷のインサイドを攻め立てパーキンズが7得点、ハミルトンが6得点を挙げる。自らミドルシュートを沈めて的を絞らせない五十嵐の老獪なゲームメークも光り、17-12と押し切って最終スコア97-92の接戦をモノにした。
勝利した新潟の庄司和広ヘッドコーチは「今日はケリー選手がスタートだったので、インサイドではウチに分があると思った。そこを強調するプランでいきました」と、勝因を語る。結果、柔らかさを持つパーキンズが34得点、横幅とパワーが魅力のハミルトンが29得点と、インサイドの攻防を制したことがカギとなった。
また、「ケリー選手のアウトサイドは強力ですが、ハンドラーが一生懸命ついてくれたので対応できた」と言うように、ケリーをわずか7得点に抑えたディフェンスも金星の要因となった。
敗れたSR渋谷の伊佐勉ヘッドコーチは「ゲームの入りがすべて」と、受け身に回った第1クォーターを敗因に挙げた。それでも、一時は13点あったビハインドを覆し、あと一歩で勝利というところまで持っていったことについて、「カムバックできる力はあらためて感じた」と収穫も挙げている。
新潟は主力選手のプレータイムが伸びたが、森井健太がSR渋谷の強烈なプレッシャーディフェンスをかいくぐり五十嵐の負担を軽減させ、池田がここぞの場面で3ポイントシュートを決めるなど、脇を固める選手たちの活躍があってこその勝利となった。今村のアクシデントがあったにもかかわらず、リーグ最高勝率のSR渋谷から挙げたこの1勝は、今後の上昇を感じさせるものとなった。
11月10日のB1 8試合の結果
島根81-76三河
SR渋谷92-97新潟
京都58-98秋田
宇都宮84-70北海道
A東京83-71琉球
名古屋D74-83千葉
大阪88-78横浜
川崎81-79三遠