「自分にできることをやるしかない」
バスケットボール女子日本代表は11月中旬に開催される『東京オリンピック プレクオリファイングトーナメント』に向け、強化合宿を行っている。
今回は4連覇を果たしたアジアカップから、6人が新しいメンバーになっている。その中でも久しぶりに代表入りを果たしたのが根本葉瑠乃だ。
代表として国際試合に出場するのは、昨年のワールドカップ以来となる根本だが、今回招集された時は「本当に自分が入っていいのかなと思った」と、不安が先行していたことを明かす。
というのも、慢性的な痛みを抱えていた右スネを今年4月に手術したものの経過が思わしくなく、プレーできるようになったのはWリーグ開幕の1カ月前だった。「ケガから復帰したばかりで不安でした。でもトム(ホーバスヘッドコーチ)さんに呼んでもらっている以上、自分にできることをやるしかないという思いで今はやっています」との思いで合宿に挑んでいる。
三菱電機コアラーズでは開幕から試合に出ているが、まだプレー感覚が完璧には戻ったわけではない。「マックスが昨シーズンのWリーグファイナルだとしたら、ディフェンス面でもオフェンス面でも全然達していないです」と、もどかしさを口にした。
「自分は何も残せていなくて、焦りもありました」
メディアに公開された練習では、根本は3ポイントシュートも迷うことなく打ち、ドライブでも果敢に攻めて、思い切りの良さが目立つプレーをしていた。しかし、そこには前日の練習が影響していたという。
「自分がトムさんから求められているのは3ポイントシュートなんですけど、昨日の練習で打てるところで打たなくて、すごく怒られました。だから今日の練習は絶対に打つように心がけて挑みました。ちょっとずつですが、自分の役割はできていると思っています」
日本代表のシューターとしては、宮澤夕貴が確固たる地位を築いており、今回のチームでは林咲希と根本が招集されている。林は今年になってA代表デビューを果たし、アジアカップでは勝負どころで次々と3ポイントシュートを沈めて評価を上げている。
「キキ(林)さんが結果を残している中で、自分は何も残せていなくて。外から見ている時は焦りもありました。でもリハビリをやっている間も、自分もあそこに戻りたいから頑張らなきゃ、という気持ちは常に持っていました。まだ何もできていないから自信はないんですけど、とにかく選んでもらったからには、やらなきゃという気持ちが大きいです」
「やっとスタートを切った感じです」
ケガ明けで万全ではないとしても、今回の代表招集が根本にとって大きなチャンスであることは間違いない。「今はまだ何もトムさんにアピールできていないので、やっとスタートを切った感じです。今回の大会で結果を残して、来年の2月、そして、その次のオリンピックに繋げていきたい」と意気込む。
大事なのは結果。そのために根本が意識するのは次の2点だ。「自分の役割は3ポイントシュートと明確です。なので空いたら積極的に打つ。ディフェンスでは自分よりも大きい相手につくと思うので、そこで自分の速さで対抗していきたい。だけど、とりあえず自分にできること精一杯やるしかないと思っています」
今はまだ自信は持てないかもしれないが、それでも日々の練習で少しずつ積み上げていくことはできる。「まだ自信はありませんが、逆に怖いモノもないです」と、吹っ切れたからには前進あるのみ。ケガの前の自分に追い付き、追い越す活躍に期待したい。