『リオ五輪の司令塔』吉田亜沙美が2年ぶりの代表復帰「生かすも殺すも自分次第」

2019/11/06
日本代表
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吉田亜沙美

指揮官は「ほぼ動けている」、吉田本人は「不安」

バスケットボール女子日本代表は11月中旬に開催される『東京オリンピック プレクオリファイングトーナメント』に向けて第11次強化合宿を行っている。

アジアカップ4連覇を成し遂げた主力メンバーの一部の招集が見送られた中、最大の注目を集めたのが吉田亜沙美だ。今年3月に現役引退するも、今シーズン開幕直前に現役復帰を決断。所属するJX-ENEOSサンフラワーズでは徐々にプレータイムを伸ばし、先発復帰も果たした。

練習を終えて吉田は「チャンスを与えてもらえたので、生かすも殺すも自分次第なのでモノにしたいと思っています」と充実した表情で語る。

日本代表のヘッドコーチを務めるトム・ホーバスに相談をし、「チャンスがある」と背中を押されたことが復帰の理由の一つだと明かした。ホーバスヘッドコーチは以前、吉田が復帰した時点で「トライアウトをする」と話しており、今回の合宿はその意味合いも含まれている。

吉田は約6カ月間バスケから離れていたため、今はそのブランクを埋める作業に追われている。また、トムコーチからは11月か2月に招集すると示唆されていたこともあり、まだ完全にコンディションが戻っていない吉田は「呼んだけど違うな、って思われる不安はある」との思いもあったという。

身体の強さもスピードも、昨シーズンと遜色ないように映る。ホーバスヘッドコーチも「ほぼ動けている」と、吉田の現状のパフォーマンスに及第点を与えた。

吉田亜沙美

「選ばれたからにはスタートは自分の力で勝ち取る」

現役復帰を果たした選手は、一度離れたことでそのスポーツの楽しさをあらためて実感するものだ。吉田もその例外ではなく「バスケができているだけで楽しい」と感じている。だが、代表合宿は楽しいだけでは済まされない。そこには激しい生存競争も存在する。

今回のチームに町田瑠唯は招集されていないが、アジアカップMVPの本橋菜子、渡邉亜弥とポジションを争うことになる。紅白戦では渡嘉敷来夢や宮澤夕貴、赤穂ひまわりと同じAチームとなり、本橋と交代で出場していた。

自らバックアップに回ったJX-ENEOSでの昨シーズンを除き、吉田はJX-ENEOSでも代表でも長らく不動の先発、中心選手として活躍してきた。それでも、以前の自分に戻っていないと感じている吉田は「今置かれている状況で、自分がどれだけのパフォーマンスができるか」にフォーカスし、「今は練習の中で自分がいてくれて、気持ち的に助かったなって思ってもらえれば、それだけでいい」と俯瞰的に見ている。

ガツガツした気持ちを抑えているようにも見えるが、代表の先発をあきらめているわけではない。「選ばれたからにはスタートは自分の力で勝ち取りたい。今は無理にしても、徐々に自分でエンジンをかけて、『東京オリンピックの時には』という思いはもちろんあります」

自分が思っていたよりも早く代表復帰を果たした吉田。これから練習を重ねることで自分のイメージに追い付き、追い越した時、日本はリオ五輪を上回る最強のチームとなるに違いない。