泥臭い仕事をこなし、エースのマブンガをサポート
京都ハンナリーズは千葉ジェッツ、アルバルク東京と東地区の強豪からも勝ち星を挙げ、現在8勝4敗と好調を維持している。
ジュリアン・マブンガとデイヴィッド・サイモンの両外国籍選手が核となっているが、永吉佑也の存在もこのスタートダッシュの大きな要因となっている。基本的にBリーグでは、両チームの外国籍選手がインサイドでマッチアップすることがほとんどで、日本人ビッグマンがコートに立つ時間は限られてくる。
その中で永吉は異例とも言える約30分間のプレータイムを得ている。京都の浜口炎ヘッドコーチも「ずっとよく我慢してますし、素晴らしいです」と、インサイドで泥臭い仕事をこなす永吉の働きを称賛している。
永吉も「ディフェンス面ではチームに貢献できている自信はあります」と、日本人ビッグマンとしての矜持を見せる。実際、永吉が外国籍選手をマークすることで、攻守のキーマンとなるマブンガが無用な体力の浪費を抑えることができ、チームの安定したパフォーマンスに繋がっているとも言える。
「僕がいることでチームはビッグラインナップもできる。ディフェンスのローテーションとか、面白い組み合わせもできるし、バリエーションが増えるのが強み」と永吉が言うように、リーグでもトップクラスのビッグラインナップを形成できる彼の存在は欠かせないものとなっている。
「この気持ちはずっと忘れちゃいけない」
指揮官が「彼はシュートが得意で、特にコーナーのシュートが上手。彼のアテンプトをチームとして増やせてないのはコーチの責任なので、そこは考えているところ」と言うように、永吉のシュート力は今後の京都をもう一つステップアップさせるカギになりそうだ。
永吉本人も「僕がシュートを決められれば、もっとチームは良いオフェンスができる」と確信している。「オフェンス面ではまだ課題を感じていて、3ポイントをもっと決められるようにならなきゃいけないとは前々から思っています。ジュリアンにも『俺が引きつけるから打てよ』とは言われてるんですけど、まだ決めきれていないので」
今でこそコートに立ってプレーしているが、昨シーズンの大半を謹慎して過ごす歯がゆい思いもした。もちろん贖罪の意識は消えないが、ボランティアや試合運営といった活動を経たからこそ、バスケがプレーできていることがうれしいと永吉は語る。
「この環境に感謝しながら毎日やれています。その気持ちがあるからこそゲームを楽しんでいる自分もいるし、この気持ちはずっと忘れちゃいけないと日々の生活から思っていますね」
迷惑をかけたからこそ、チームへ貢献したい思いは強い。それに伴い、ファンへの思いも今まで以上に高まっている。そして、リーグNo.1の観客動員数を誇る千葉のホームでプレーしたことで、あらためて「ホームアリーナをいっぱいにしたい」と、実感したという。
「今日の試合のように、ハンナリーズアリーナをいっぱいお客さんが入るような環境にしたいです。千葉の試合を終えて率直にそう思いました。そのためには勝つことも一つの手段ですし、試合以外での活動も、もっともっとやっていきたい。バスケットで京都を盛り上げたいです」
京都はリーグで平均観客者数が2000人を切る唯一のクラブで、集客面で大いに苦戦している。永吉が言うように、チームが強くなり、魅力が増せば集客の一助になる。チームが強くなり、クラブの集客にも好影響を与えるためにも、永吉はさらなる活躍を目指す。