写真=Getty Images

ビッグマウスが目立つ父、3人の息子に込めた想い

Facebookが製作するリアリティショー『Ball in The Family』は、そのタイトルの通り、2017年ドラフト全体2位でレイカーズから指名されたロンゾ・ボールの一家を題材にした番組だ。

メディアの前で過激な発言を繰り返す父ラバー・ボールを中心に、長男ロンゾ、次男リアンジェロ、三男ラメロの日常を追いながら、ボール一家の本質に迫ったFacebook独占ドキュメンタリー番組は、ロンゾがレイカーズからドラフト指名される前から撮影がスタートした。

ラバーには、それぞれ特徴の異なるバスケットボール選手に育っている3人の息子たちを全員レイカーズの選手にするという夢がある。実現は困難に思われるが、ラバーは真剣そのもの。リアンジェロもラメロも、兄ロンゾがスターダムに乗った姿を見て、トップアスリートに上り詰めることを決意している。

ドラフト前から父がメディアに頻繁に露出し、「マイケル・ジョーダンにも1対1で勝てる」と豪語するなど、ボール一家はアメリカメディアだけではなく、世界中のメディアから注目される存在に。

順風満帆にドラフトを迎えたように見られるボール一家だが、今年2月には母ティナ・ボールが脳卒中で倒れた。『Ball in The Family』では、ティナとラバーの出会いから、ティナの両親からラバーの第一印象などの話を聞き出している。そして、まだ後遺症が残るティナの退院後の様子、ロンゾがレイカーズから指名された直後の一家の喜びも収められている。

「お前たち3人が続けてNBA選手にならないといけない」

今回Facebookで公開されたエピソードの中で最も印象的なシーンは、ドラフト会場であるバークレイズ・センターに向かう直前にホテルの一室で見られた親子4人のやり取りだ。

黒のスーツ上下に身を包んだロンゾが兄弟と父の前に姿を見せると、ラバーはリアンジェロとラメロに「お前たちも兄と同じようになりたいか?」と語りかける。そして、ロンゾに向かってこう続けた。

「この2人はお前の成功を見て歩む。いいか、お前たち3人が続けてNBA選手にならないといけないんだ。お前は常に正しい決断をしてきた。ここに立てているのも、お前が人生を切り開いてきたからだ。お前が2人の弟を導く。これからはお前が自分の世界を作り上げるんだ。お前を誇りに思う。さあ、行ってこい」

クライマックスはもちろん、檀上に立ったNBAコミッショナーのアダム・シルバーが「NBAドラフト2017 ロサンゼルス・レイカーズが全体2位で指名する選手は、ロンゾ・ボールです!」と発表する場面だ。指名後のインタビューでロンゾは、両親の自宅で中継を見ていた母に向かい、「家も近いし、母が大半の試合を見に来ることができる。母は日に日に回復しています。今は、家で幸せな気分でこの中継を見てくれていると思います」と語りかけ、ティナは感動のあまり目に涙を浮かべ、息子の晴れ姿に見入った。

あまりにも過激な言動ばかりが注目されるラバーだが、3人の息子に明確な目標を与え、それを叶えるためサポートし続けている。来月開幕するレギュラーシーズンでは、注目度が高いロンゾが他チームから標的にされることもあるだろう。だがロンゾは、弟たちの見本になり、NBAでプレーすることがどういう意味を持つのかを伝える使命を背負っている。そしてそれは、ロンゾにしかできないことだ。

今後も『Ball in The Family』では、NBA選手となったロンゾの日常を収めつつ、カメラはリアンジェロとラメロの成長過程も追い続ける。

Facebook独占の同リアリティショーは、NBAファンでなくとも一見に値する番組だ。