目指す姿は「チームを勝たせるポイントガード」
滋賀レイクスターズは敵地で横浜ビー・コルセアーズに勝利し、今シーズン3勝目を挙げるとともに連敗を4で止めた。
この試合で、齋藤拓実は14得点3リバウンド4アシストを記録。さらに、速いボールプッシュでアウトナンバーを作ったり、自らもドライブで切り込んだりと、オフェンスに勢いを与えるプレーを見せた。
ここまで滋賀は3勝8敗と黒星が先行している。8敗のうち4試合は5点差以内の負けで、チームとして勝ちきることができない要因を「ディフェンスがしっかりできていないことと、オフェンスのターンオーバー。それは全部繋がっているので、自分たちで崩れてしまっている印象です」と齋藤は語る。
齋藤が言うように、11試合を通して滋賀は平均13.5本のターンオーバーを犯している。この試合でも第3クォーターに連続でターンオーバーをし、横浜に主導権を握られてもおかしくない状況があった。
「ターンオーバーから崩れかけた時もあったんですけど、第3クォーターの後半や第4クォーターで、ディフェンスからチームでしっかり立て直すことができました。もちろんヘンリー(ウォーカー)のシュートが入っていたことも大きかったですが、それはまぐれで入っているのではなく、チームとして機能していたから得点できていたと、みんなも分かっています。そういった意味でも、今日の勝利はチームにとってプラスになったと思います」
全試合先発出場は「頑張って練習をやってきた結果」
齋藤は、開幕からの11試合すべてで先発ポイントガードを務めている。アルバルク東京では十分なプレータイムが得られずにレンタル移籍を選択した。明治大からA東京に加入した当初は「レベルの高いポイントガードがいるチームで揉まれて学びたい」と話していたが、プロ選手として活躍の場を求めるのは当然だ。その気持ちの変化について、齋藤はこう語る。
「今もまだまだですが、アルバルクで1年半から2年ぐらい、オフェンスのスキルやスペーシング、オフボールの動きやディフェンスの基礎をしっかり学びました。それをコートで表現したいという気持ちが大きくなっていたんです。でもアルバルクだとやっぱり安藤(誓哉)さんや小島(元基)さんがコンスタントに活躍していて、その2人がケガをした時にしか出られないとなると、シーズンを通してプレータイムが少ない状況でした。なので、コートの上で自分が学んだバスケを表現するためにも、移籍を決めました」
齋藤は昨シーズン28試合に出場、平均出場時間11.6分と伸びなかった。それが今シーズンはここまで平均24分と倍増し、それに伴い10.4得点、5.8アシストとスタッツも伸びている。A東京で先発を務める安藤の昨シーズンのスタッツが9.7得点、3.2アシスト。単純な比較はできないにしても、A東京加入時に『即戦力のポイントガード』と呼ばれた実力を新天地で発揮している。
しかし、レンタル移籍を決めた時点でスタメン起用の確約はなく、「夏の練習で誰がスタートになるか分からない中、頑張って練習をやってきた結果です」と言う。伊藤大司、狩俣昌也と経験あるポイントガードがいる状況、努力の末に先発を勝ち取り、スタッツも残している。
「自分が活躍してもチームが勝てないと良くない」
そのことに対する手応えはあるかと問うと「自分が活躍してもチームが勝てないと良くない。今日は点数を取れたことよりもチームが勝てたことがうれしいです」と、自身のパフォーマンスよりも、チームが勝利できたことの喜びが大きいと語った。
移籍理由は『プレータイムが欲しい』という理由だったが、今では新たな目標も生まれている。「この11試合を通して、チームを勝たせるポイントガードには、まだなれていません。そういった意味ではもっと勝ち星を増やして、自分のスタッツだけにはこだわらずに、ゲームメークできるポイントガードを目指していきたい」
齋藤はプレータイムを得たことで満足せず、『王者』A東京で学んだことを生かしながら新たな目標に向かって進化している。特にポイントガードは経験がモノを言うポジションと言われる。ただプレータイムが伸びただけでなく、先発として試合序盤に流れを作り、また終盤の勝負どころを担う経験一つひとつが大きな刺激になる。そんな経験を重ねるこの1年で齋藤は自分の能力を大きく伸ばせるはず。その未来は明るいに違いない。
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