辻直人はチームの好調を歓迎しつつ復活の時を待つ「余裕を持って、自信を持って」

辻直人はチームの好調を歓迎しつつ復活の時を待つ「余裕を持って、自信を持って」

2019/10/29

辻直人

「試合を重ねることで感覚が戻ってくる実感はあります」

開幕から1カ月。川崎ブレイブサンダースは宇都宮ブレックス、千葉ジェッツなど難敵との対戦が続く中で8勝2敗とスタートダッシュに成功している。ただ、好調なチームにあって辻直人にとっては消化不良が続く。

オフに肩の手術を行うもシーズン開幕には間に合ったが、開幕4試合目となる新潟アルビレックスBB戦の後半から腰の痛みにより戦線離脱。3試合の欠場を経て、先週末のサンロッカーズ渋谷戦には復帰を果たす。だが、この連戦では約10分のプレータイムに留まり、得点は26日の3ポイントシュート1本のみだった。

27日の試合後、辻は「このタイミングでの復帰は予定より早いです。当初はもう少しかかる想定でした」と語る。さらに自身の現状をこうとらえている。

「コンディションはまだまだで、100%の状態でバスケットボールができるにはもう少し時間がかかります。ただ、試合を重ねることで感覚が戻ってくる実感はあります。今はプレータイムを多くもらえていないので、限られた時間の中でやれることをやろう、その中でも自信をもってプレーすることが大事で、この2試合は開幕してからでは一番余裕を持って、自信を持ってプレーできました」

辻直人

「いろいろと考えましたし、悩む時期もありました」

今シーズンの川崎は、オフの積極補強で選手層を厚くし、プレータイムのシェアを徹底するスタイルを導入している。さらに、新ヘッドコーチの佐藤賢次の下、これまでの序列は全く関係なしと、まっさらな状態から川崎の変革はスタートした。そのため、これまで川崎に数々の栄光をもたらしてきた辻であっても、出番の保証は全くない。故障明けでベストコンディションでない彼が、10分程度のプレータイムに終わるのはある意味で当然だ。

その点は辻も十分に理解しており、「味方の中で競争をして、良いプレーをしていかないとスタメンには戻れない。信頼を勝ち取れないです」と語る。

昨シーズンまで川崎の2番ポジションは、辻が離脱すると穴になりがちだったが、今は新加入の大塚裕土がいて、長谷川技も2番をこなせる。そして、藤井祐眞のツーガード起用もすっかり定着し、一気に層が厚くなった。辻はこの変化を「チームにとっても自分にとってもプラスしかない。より激しい練習ができることで、試合ではより余裕を持ってプレーできるようになります」と好意的にとらえる。

とはいえ、辻は誰もが認める川崎の看板選手。だからこそ自身が離脱していてもその穴を感じさせない強さでチームが勝ち進んでいることに「うれしいですし、頼もしいです」と喜びが大前提としてある一方、そこに複雑な感情が入ってくるのも自然なことだ。

「これまで自分が引っ張ってきたチームに自分がいなくても、強豪相手にも勝てています。そんなチームにあって自分らしいプレーが出せなくて、いろいろと考えましたし、悩む時期もありました」

ただ、今はしっかりと前を向いている。「今回の2試合の前、賢次さんと話をして、もう過去を振り返らずに先のことを見据えて、個人的な目標を持って頑張ろうと思えました。この2試合の前は吹っ切れて臨めました。ちゃんとコンディションを戻し、自信を持ってプレーできるようになれば必ずプレータイムをもらえる。スタッツを残せる自信はあります」

辻直人

優勝には辻の『オンリーワンの魅力』が不可欠

誰が出ても守備の強度が落ちない全員バスケを展開する川崎だが、それでも辻の3ポイントシュートは彼が決めるからこその勢いをチームにもたらし、会場を熱狂させる。その魅力はオンリーワンのものであり、だからこそ辻の復活はチームのさらなるステップアップに欠かせない。

「ファンの皆さんの前で、一日でも早くこういう強豪との試合で自信を持ったプレーを表現したい。そして良いところでシュートを決めてチームを勝たせるところまで持っていきたい」。辻は年内に向けての短期的な目標についてこのように語る。

川崎が今の勢いを本当のチームの強さへとして定着させ、まずは最初の大舞台である天皇杯のタイトルをつかむためには、今のスタイルを徹底して継続できるかとともに、辻の復活も大きなキーポイントとなる。

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