マルク・ガソル

昨シーズン途中にグリズリーズからラプターズにトレード

2018-19シーズンに球団初優勝を果たしたラプターズの優勝リングには、選手個々の思いが刻まれている。

優勝リング制作に関するストーリーをまとめたラプターズ公式YouTubeで、カイル・ラウリーは「ウチの優勝リングでベストと思うことの一つは、リングの内側に刻まれたメッセージにある」と話している。

「それぞれのリングには、異なるメッセージが刻まれているんだ。自分をハードワークに駆り立てたものや、実行できた理由にあたる言葉が刻まれている。そうすることで、手に取ってその時の気持ちを思い返すこともできるからね」

『Daily Memphian』によれば、Gリーグを経てラプターズで定位置を確保した苦労人のフレッド・バンブリートのリングには『BET ON YOURSELF』(自分を信じろ)。すでにウォリアーズで2度の優勝を経験済みだったパトリック・マコーのリングには、3度目の優勝を表す『3X CHAMP』の文字が刻まれているという。

それぞれ思い入れのある言葉で優勝リングをオンリーワンのものにしているのだが、マルク・ガソルが選んだメッセージは、NBA選手としての『ルーツ』を体現している、あのフレーズだった。

昨シーズン途中にグリズリーズからラプターズにトレードされたガソルは、加入当初こそアジャストするのに時間を必要としたが、プレーオフまでには役割を理解し球団初優勝に貢献。うれしいキャリア初優勝の記念リングに彼が刻んだ言葉は、『Grit and Grind』だった。

『Grit and Grind』は、ガソルが1年目から10年半所属したグリズリーズのキャッチフレーズで、闘志を持ち、気骨のあるプレーするという意味が込められている。

昨シーズン途中から再建に舵を切ったグリズリーズは、功労者であるガソルをトレードする苦渋の決断を下した。NBAのビジネス的な側面を知るガソルも、球団の考えに理解を示し、トレード成立後も「(トレードが)成立したのだから満足している。だから、悲しくなんてない」と、Twitterに投稿した。

だが、そうは言っても、彼にとってグリズリーズは特別な球団で、メンフィスは特別な街だ。退団したとはいえ、NBA選手としての根幹を形成したチームのスローガンは、選手としての彼の気質を表す言葉でもある。

チームが変わっても、マルク・ガソルのアイデンティティーには、『Grit and Grind』の精神が焼き付いている。