激しいディフェンスができず今シーズン初黒星
昨シーズンからメンバーを大幅に入れ替えたサンロッカーズ渋谷が好調を維持している。宇都宮ブレックスに敗れ、開幕からの連勝は5で止まったが、現在も強豪ひしめく東地区で首位を走っている。
移籍組の田渡修人はここまで6試合すべてに出場し、平均19.5分間の出場で5.5得点、2.5アシストを記録。先発出場はないが、ベンチメンバーの中では最もプレータイムが長く、シックスマンとして存在感を示している。
SR渋谷は現在平均84.5得点でリーグNo.1のオフェンス力を誇っている。だが、田渡に言わせれば、オフェンスが機能しているのはディフェンスで頑張れているからこそ。
「ディフェンスで激しくプレッシャーを与えているので、スティールも多いし、相手がタフなショットを打つからリバウンドからトランジションでの得点が増えている部分もあります。良いディフェンスをすれば良いオフェンスに繋がるので、得点力トップに繋がっているんじゃないかと思っています」
田渡がそう言うように、SR渋谷はスティール数でも唯一平均2桁(10.2)を記録し、リーグ1位の数字を残している。単にオフェンス力が上がっただけでなく、ディフェンスとの相乗効果が今の強いチームを構築している。
実際、初黒星を喫した宇都宮戦は今シーズン最多失点での敗戦となった。「ディフェンスが良くなくて、決め切られてしまって、僕らの激しいディフェンスからリバウンドを取ってトランジションという本来の形ができませでした。リズムを作るのは全部ディフェンスからなので、そこが良くなかった」
「スタートになりたくないわけではない」
SR渋谷にはそれぞれタイプの違うガード陣がいる。ドライブと得点力が武器のベンドラメ礼生に、コントロールタイプの山内盛久、リバウンドが魅力の渡辺竜之佑だ。田渡は3シーズンプレーした三遠ネオフェニックス時代にはシューティングガードとしてプレーすることが多く、3ポイントシュートを得意としている。また、ボールハンドラーとなりクリエイトすることも求められていたためガードの適性は大いにあり、自身も「本当に誰が出ても変わらないし、いろいろな役割があるから、それが今は上手くいっている」と、チームの強みになっていると言う。
そして、自身に出番が巡ってきた時には、目まぐるしく変わる試合状況の中で役割を見極めながら、チームに貢献できる場所を探している。「スタートで出ることが今はないので、相手は今こういうディフェンスをしているとか、自分が出た時にこうしようとかを考えます。僕が出たら落ち着いたり、僕が出ていればさらに点差が離せるとか、そういう存在になりたいです」
チームに貢献できることを模索する田渡だが、「スタートになりたくないわけではない」と、ベンチを喜んで受け入れているわけではない。三遠時代は主力としてほとんどの試合に先発出場してきたのだから、そう思うのは当然だ。
それでも、「自分が出たいという気持ちもあるけど、今はみんなでプレータイムをシェアできているし、勝ちに繋がっています。もうワンステップアップすることが必要なので、勝ち取ってやろうと思っています」と、強い気持ちを見せた。
「私はお兄ちゃんじゃなく修人です!」
前述のとおり、田渡は三遠の顔としてプレーしてきただけに、SR渋谷への移籍は少なからずサプライズであった。『チームの顔』であることについて「自分でも意識していた部分はあった」と明かしたが、優勝という明確な目標があり、さらに言えば、東地区のチームということがSR渋谷への移籍の背中を押したという。
「長い目でチャンピオンシップを見たら、やっぱり上位4つは東地区が多いです。そこで自分がどれだけ通用するんだろうとか、バスケットがもっと上手くなれるんじゃないだろうかと思ったので。東地区で挑戦したい気持ちが、SR渋谷を選んだ理由の一つにあります」
実際、東地区のチームに移籍した選手が「激戦区で戦いたかった」と言うことは多い。もしチャンピオンシップに出場したいのであれば、あえて東地区を避けることも一つの手だろう。だが、田渡はあくまで優勝にこだわる。
「チャンピオンシップに出ることが目標ではなくて、僕はやっぱり日本一になりたい。強いチームと6試合できるチャンスが常にあって、そこで勝ち上がっていけば力はつくし、優勝に近づくんじゃないかなと思っています」
ちなみに、弟の田渡凌はテラスハウスに出演したことで知名度が急上昇。思いがけぬ効果として「お兄ちゃん」と呼ばれる機会が増えたという。「シューティーと呼んでくれる人もいますが、最近お兄ちゃんと呼ばれることが増えてめちゃくちゃ心外です」と苦笑いを浮かべた。
「私はお兄ちゃんじゃなく修人です!」。そう話す田渡が、SR渋谷で確固たる地位を築き、優勝を成し遂げることができれば、凌の存在は『シューティーの弟』へと変化させられるはずだ。
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