勝負どころのパフォーマンスに明暗
千葉ジェッツが船橋アリーナに宇都宮ブレックスを迎えた水曜ナイトゲーム。前節の滋賀レイクスターズ戦で負傷したジェフ・ギブスと竹内公輔が欠場した宇都宮だったが、終盤の勝負どころで3ポイントシュートを決めたことでシーソーゲームを制した。
スペーシングを意識したオフェンスから、15本中7本と高確率で3ポイントシュートを沈め、前半だけで8人が8得点を記録した宇都宮が先行する。それでも、富樫勇樹が9得点、ギャビン・エドワーズが11得点と2人のピック&ロールを起点に攻め、小野龍猛のポストプレーも効果的に決まるなど千葉も一歩も引かず、39-39と同点で前半を終えた。
そして、後半に試合が動く。宇都宮の安齋竜三ヘッドコーチが「一回流れを持ってこれたのは大きかった」と試合後に話したように、宇都宮はフルコートでプレッシャーをかけることでパスカットを連発し、ターンオーバーから得点を重ねて8点のリードを奪った。
「橋本(晃佑)も4番で頑張ってくれていたんですけど、身長差があるので、そこを少し停滞させられるように前で時間をかけさせて、ハーフコートのオフェンスの時間を少なくさせるために使いました」と、安齋コーチはその意図を明かした。普段とは異なる4番ポジションで奮闘していた橋本の負担を軽減させる狙いもあったが、これがハマったことで宇都宮がペースをつかんだ。
だが、ライアン・ロシターのフリースロー失敗でリードを2桁に広げるチャンスを逸すると、エドワーズにプットバックダンクやプッシュからの速攻を許し、1点差まで詰め寄られて最終クォーターを迎えた。
我慢が生んだ3ポイントシュート
これまで同点にされることはあったものの、逆転を許さなかった宇都宮。だが、開始1分にマイケル・パーカーにブロックを浴び、そのまま走られて逆転されると、直後にも富樫のシュートを許し、4点のビハインドを背負ったところでタイムアウトを取った。
初めて追いかける展開となったが、タイムアウト明けに喜多川修平が3ポイントシュートを成功させると、ロシターも3ポイントシュートを沈め、残り6分で62-62の同点に追いつく。
そのスコアが示すように互いの力は拮抗していたが、安齋ヘッドコーチが「ディフェンスのマインドを崩さなかった。我慢ですね」と勝因を語ったように、ここから宇都宮はディフェンスで最高の集中力を見せた。
まるで守りながら攻めているような攻撃的なディフェンスを体現し、3連続でターンオーバーを誘発。そして、ロシターがワンマン速攻と、決して簡単ではない3ポイントシュートをねじ込みリードを広げた。残り1分、小野に3ポイントシュートを決められ4点差に迫られたが、遠藤が1on1から3ポイントシュートを決め返し再び3ポゼッション差に。そして、直後のディフェンスでエドワーズからターンオーバーを誘発して勝負アリ。最終スコア76-69で宇都宮が勝利した。
速攻を徹底的に警戒「そこだけはやられるな」
宇都宮は千葉の強みである速攻からの失点を9に抑えたことが勝因の一つとなった。安齋ヘッドコーチも「千葉さんはトランジションのチームなのでそこだけはやられるなと伝えてはいました。選手全員がしっかり戻ったり、リバウンドを取られてもギャンブルしなかったです」と話し、基本に忠実なトランジション対策を徹底したことが実を結んだ。
追いかける展開が続き、最終クォーターに一度は逆転に成功したものの、その後に失速した千葉。大野篤史ヘッドコーチは「相当もったいないです」と肩を落とした。
「フロントコートにどれだけ早く行くのかということを、もっと大事にしていかないといけない。そこでリズムを作っていかないと、僕たちのトランジションは出てきません。まくった時にもう一回、ディフェンスをやって走らなきゃいけなかった」と、得意の展開に持ち込めなかった点を敗因として挙げた。
また第3クォーター、プレッシャーディフェンスからミスを連発したシーンも大きかったと振り返る。「プレスをやられたところで弱気になって、横を向いて縦に割っていけなかったです。そこの気持ちの差。相手にモメンタムを持っていかれました」。実際、後半のターンオーバーは9-3と、流れを持っていかれたシーンでのミスが命取りとなった。
インサイドの要を失い苦戦が予想された宇都宮だったが、ディフェンスマインドで最後まで我慢した結果、勝負どころの3ポイントシュートを呼び込むことで接戦を制した。開幕2連敗からの3連勝で、次節のホーム開幕戦へ弾みをつける勝利となった。
10月16日のB1 9試合の結果
秋田65-60A東京
千葉69-76宇都宮
SR渋谷83-76北海道
三遠71-80横浜
三河93-74新潟
大阪59-90京都
島根61-78滋賀
川崎69-73富山
琉球83-73名古屋D
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