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レブロンがキャブズを去れば東のトップチームに浮上?

8月22日、セルティックスとキャバリアーズとの間で大型トレードが成立した。セルティックスは、アイザイア・トーマス、ジェイ・クラウダー、そして昨年のドラフトで指名されて今夏にセルティックスと契約を交わしていたクロアチア人のアンテ・ジジッチ、さらには2018年のドラフト1巡目指名権と交換でカイリー・アービングの獲得に成功している。

セルティックスの決断について、その背景を考察してみよう。アービングと同じポイントガードのアイザイア・トーマスは、アイソレーションからの得点に優れる小兵ガードだが、現在28歳。このままチームに残れば今シーズン終了後にマックス契約を結ぶ可能性が高いものの、キャリアのピークは過ぎてしまう。一方のアービングは25歳で、これから全盛期を迎える。

セルティックスは今夏すでに、フリーエージェントのゴードン・ヘイワードと4年契約を結んでおり、エイブリー・ブラッドリーとのトレードでマーカス・モリスをピストンズから獲得していた。オフェンス面だけ見れば、トーマス、エイブリー、クロウダーよりも、アービング、ヘイワード、モリスの方が破壊力はある。

また守備に関しても、セルティックスにはジェイレン・ブラウン、マーカス・スマートといった万能性の高い選手がいる。クロウダー、ブラッドリーの放出が守備に多少の影響を与えたとしても、球団社長のダニー・エインジは、ルーキーのジェイソン・テイタムの資質が開花すると判断し、今回のトレードに踏み切った。

セルティックスにとっては、現行の契約をあと2年残すアービングと延長契約を結べるかが一つの焦点になる。アービングが「セルティックスで優勝できる」と確信すれば、再契約を結ぶことができる。アービング、ヘイワード、テイタムのコアが完成し、3選手を軸としたチーム作りを進めていけば、アービングを納得させることは不可能ではないはずだ。

また、セルティックスはネッツから譲渡された18年の1巡目指名権を手放したが、今年のドラフト前にセブンティシクサーズと成立させたトレードで、レイカーズの2018年ドラフト1巡目指名権を獲得している。これは条件付きで、もし2018年ドラフト全体2~5位指名権以外になればセルティックスのものになるというもの。レイカーズは、新人ロンゾ・ボール、実力者ケンテイビアス・コールドウェル・ポープの加入により、昨シーズンの26勝56敗から成績が浮上すると見られているだけに、セルティックスが来年のドラフトでも上位指名権を獲得する可能性は残されている。

トレードの詳細、放出した選手名を見るとセルティックスの意図が不明瞭で、キャブズが得をしたかのように見えるかもしれないが、セルティックスのプランのほうが明確だ。アービングにトレード要求を突き付けられたキャブズは、交渉に苦労した末に東カンファレンスのライバルチームにエース・ポイントガードを放出するという選択を下した。

来年の夏にはレブロン・ジェームズとアイザイア・トーマスが契約満了を迎える。ここで2人に出て行かれては、東のトップチームはセルティックスとなる。さて、ダニー・エインジの目論見どおりに事は運ぶのだろうか──。