宮澤夕貴

「落ちるところまで落ちて、這い上がるだけ」

女子日本代表が4連覇を果たしたアジアカップ。この大会で宮澤夕貴はあらためて代表の中心選手であることを証明した。体調不良により初戦を欠場したが、徐々にコンディションを上げると準決勝のオーストラリア戦で19得点15リバウンドのダブル・ダブルを記録。決勝の中国戦では8得点6リバウンドだったが、スタッツには出ないハードワークでチームを支えた。そして、35分の出場時間は、彼女がいかに替えの効かない存在であるかを示している。

「これまでの4連覇すべてに、メンバーとして入っていることはうれしいですし、自信にも繋がります」と振り返る宮澤は、大会ベスト5選出についてチームメートへの感謝を強調する。

「ベスト5という結果にはなりましたが、自分の役割はシューターとして3ポイントシュートを決めること。シュートを打つ機会が多いですが、それはチームが打てる場面を作ってくれるおかげです」

今大会、宮澤は前半シュートが入らなくても後半の特にここぞの場面で3ポイントシュートを決め切る勝負強さが光った。そこには、「前半シュートが入らなくても、後半になったら入る。そういう変な自信は持っていますし、それがなくなったら終わりだと思います」というメンタルの強さがあるからこそだ。

だが、そんな宮澤も大会直前にはスランプに陥り、そこから立ち直った背景があった。「実際に大会の1カ月くらい前、中国遠征の後でシュートが入らなくて一度、精神面でダメになってしまいました。でもこういう時は、とことん落ちるところまで落ちて、そこまで行ったらはい上がるだけです。そうやってメンタルの切り替えをしました」

宮澤夕貴

「シュートチャンスが少なくなっても、チャンスは生まれる」

シューターであっても、タッチが悪い時にはドライブ重視にプレーを切り替える選択肢もある。しかし、日本代表の戦術において宮澤はあくまでも3ポイントシュートを打ち続けることを求められている。

そこは宮澤も「代表は、自分がシュートを打つ回数が本当に多いスタイルです。その中でしっかり決めることが仕事」と意識する。また、相手も宮澤の3ポイントシュートが日本オフェンスのカギと認識し、徹底マークで抑えにくる激しさは増している。それでも宮澤は、苦しい状況でもシュートまで持って行けた手応えについて語った。

「アジャストされて、シュートチャンスは少なくなりますが、それでもチャンスは生まれる。そして、少しでもスペースができればドライブに行くのではなく、シュートを打つことができました」

代表活動は一時休止となり、本日からWリーグが開幕する。宮澤にとっては12連覇を目指す『女王』JX—ENEOSサンフラワーズの中心選手としてのシーズンが始まる。チームの勝利のために加え、「目標はオリンピックで金メダルを取ること。3ポイントシュートだけでなく違う面でもレベルアップしていきたい」と、リーグ戦を通してさらに進化することにも意気込んでいる。