関野剛平&ベンドラメ礼生

今オフ、サンロッカーズ渋谷は思い切ったチーム刷新を断行。7人の新加入選手と生まれ変わったチームで、リーグ初年度以来となるチャンピオンシップ出場、その先にある頂点を狙っていく。そこで生え抜きの看板選手であるベンドラメ礼生、新戦力から関野剛平と、年の差1つ違いの東海大コンビに新生サンロッカーズの見どころを聞いた。

ベンドラメ「ついに秘密兵器を出してきたな」

──まず、2人の関係について教えてください。東海大でベンドラメ選手が1学年上ですが、大学時代から仲は良かったですか。

礼生 大学では練習前のウォーミングアップをいくつかの列に分かれて行っていましたが、その列がずっと一緒で会話する機会も多く、仲が良かったです。寮の関野の部屋にもよく行っていて、そこで何かイタズラをして帰るのが日課でした。

関野 僕の部屋にダッフィーのぬいぐるみがあったんですが、それがグリッドっていう円い筒状のトレーニング器具の中に、顔だけ出している状態でよく詰められていました。これをやるのは絶対に礼生さんだと思っていました(笑)。

──再びプロで同じチームとなり、普段から行動するようになって大学時代とコート外で変化を感じることはありますか?

礼生 特にないですね。大学でも関野はみんなとは違っていて、上級生の時は部屋に1人がけのソファーと小さいテーブルを用意して、ワインを飲みながら映画を見るっていう洒落たことをやっていました。ただ、彼は普通の斜め上を行っていると思われていたので、誰も突っ込むこともなかったです。

関野 今はワインではなくハイボールにハマっていて、ウイスキーを集めています。

──大学時代、それぞれプレーヤーとしてどんなイメージを抱いていましたか。

関野 礼生さんだけでなく、僕からしたらチームにいる全員が3段階くらい自分より上の人でした。最初、自分がなぜAチームにいるのか意味が分からなかった。1年生の時には、いつBチームに落とされるかの恐怖しかありませんでした(笑)。

礼生 器用なタイプではないですが、右ドリブルだけなら大学でも1、2を争う突破力でした。それくらい身体能力は当時から高かったです。関野は3年まで試合に出ていなかったんで、4年生になって出場しているのを知った時は、「ついに秘密兵器を出してきたな」と思いました。

──関野選手は「大学時代は体力がなく、数分しか全力でプレーできないからウルトラマンと言われていました」と語っていますが、ベンドラメ選手もそう感じたことはありましたか。

礼生 持久力はないかもしれないです。でも瞬間、瞬間のディフェンスはすごいので十分です。たとえ3分でも相手をガチガチに止めることができれば、それは一つの仕事としてチームに大きな影響があると思います。

関野剛平&ベンドラメ礼生

関野「ディフェンスをやっていれば褒められる(笑)」

──大学卒業してからのプレーについて、お互いをどのように見ていましたか。

礼生 どんどん関野がアウトサイドのプレーをしているのを見て、「いいねえ」と思っていました。今このチームでは自称シューターです。どんどん成長していて、そろそろポイントガードやるんじゃないかと(笑)。

関野 礼生さんは、オフェンスもすごいですが、ディフェンスに関してプロになってから1対1で相手からボールを取る場面も増えていったと思います。もともとはチームディフェンスの中でうまくスティールをするタイプで、対戦すると空いていると思ってパスを出したらスティールされたことが何度もありました。

──関野選手が新天地にSR渋谷を選んだ理由と、実際に入ってどんな印象ですか。ベンドラメ選手は加入を知った時、どんな気持ちでしたか。

関野 とりあえずどうしようかと先輩方にいろいろ聞いていました。SR渋谷を選んだのは、「ディフェンスから走るバスケットをしたい」と伊佐(勉)ヘッドコーチが言っていて、自分に一番合っていると思ったからです。

礼生 選手が抜けて補強するとなった時、その候補に関野もいると聞いていました。来てくれてうれしかったです。その前にも電話で話したりしました。

関野 今、守備でポイントカードについて前からプレッシャーをかけていたりしますが、これまでこんなにガードをマークしろと言われたことはなかったです。今はプレッシャーのかけ方がまだまだだと思いますが、新しい役割は楽しいです。それにディフェンスをやっていれば褒められるので(笑)、そういう意味では新しい役割に早く適応しなければいけないのですが、重圧はないです。今年の目標は、自分がマークしている選手に嫌だと思わせることです。出場時間とかはまだ考えていないです。

礼生 ムーさん(伊佐勉ヘッドコーチ)も、関野のアグレッシブさを評価していて自由にプレーをさせていると思います。僕は関野のディフェンスを真似して頑張ろうと思います。ボールをひたすら追いかけていく守備のアフレッシブさは代表にも繋がっていく。そこは追いつけたらいいです。

──ベンドラメ選手は、ここまで主にシュティーングガードだったが、ポイントガードでの出番が中心となります。この変化には慣れてきましたか。

礼生 これまで2番ポジションで点を取ることをメインにやっていたプレーを、1番になっても生かせるのか。そこに挑戦したいと思っていますが、シュートセレクションのタイミングとかは違います。残り10秒でボールが回ってきたりして、そこでアジャストするのは難しいところもあります。でも手応えや楽しみはあって、毎日が勉強という感じです。

関野剛平&ベンドラメ礼生

ベンドラメ「トランジションで関野は止められない」

──今シーズンのSR渋谷は、何を武器に勝っていくチームなのか教えてください。

礼生 ビッグマンも含めて機動力があります。そしてみんなディフェンスがメインになっていて、誰が出ても守備の強度は変わらない。選手層も厚くて多くプレーしても1試合25分くらいで、一つひとつのプレーの質が変わってくる。常に100%で疲れたら交代という判断ができることはディフェンスの強化になると思います。

関野 ディフェンスを第一にする。点の取り合いで勝つのではなく、守って相手より1点でも多く取れればいい。そして、激しいプレーで相手を疲れされて点を取っていくことです。

──2人のコンビでは、どんなプレーを期待してほしいですか。

関野 礼生さんがボールを持った時、僕が走っていたらどんどんパスを飛ばしてほしい。相手のガードからスティールを奪って速攻を決めて、みんなを休ませたいです。

礼生 自由に野放しにするので、アタックできると思った時は迷いなく行ってほしいです。ディフェンスを頑張って走ってくれればそこで完結します。ディフェンスからのトランジションであれば、関野のスピードは止められないです。ハーフコートになったら、なるべく彼のいるサイドは使わないようにします(笑)。

──最後にシーズンに向けての意気込みをお願いします。

関野 大差で負けることのない、安定した崩れないチームにする。開幕戦はこれまで自分のキャリアで勝ったことがないので、なんとしても勝ちたいです。相手の千葉には、ここで勝って嫌な印象を与えたいです。

礼生 東地区は3強と呼ばれていますが、僕らでそれを崩したいです。毎年、途中まではやれても最後に突き放されているので、そこを変えたいですし、やれなくはないと思っています。東地区で結果を出すことができればチャンピオンシップに繋がっていきます。そのためには、何よりもディフェンスが大事だと思ってプレーします。