林咲希

「トムさんも自分に期待してくださっている」

日本代表は今日、アジアカップ開幕を迎える。

5月の末に行われたベルギーとの国際親善試合で鮮烈な代表デビューを果たしたのが林咲希だ。ベルギー戦の初戦では3連続3ポイントシュートを決め、最終的には16分のプレータイムでゲームハイの19得点を挙げる活躍を見せた。

しかし、その後に参加した強化合宿では別メニュー。6月に左足に肉離れをおこし、ドクターストップがかかっていた。アジアカップ、そして来年の東京オリンピックに向けて良いリズムを作り始めた時に起きたアクシデントに林は「やっちゃったなあって感じはしましたね」と正直な気持ちを明かした。

「最初にああいう結果を出したので、それを続けなきゃいけないと思っていたんですけど、やっぱうまくいかないもんだなって(笑)。疲労からケガをしてしまったんですけど、自分はやらないと気が済まないタイプだから、それが裏目に出ちゃう時もあって。そこはまだ自分の若さというかダメなところだと感じました」

ケガをした当初は落ち込んだが、それでもチームメートと同様の練習メニューをこなすことができない状態でも、ヘッドコーチのトム・ホーバスは林を強化合宿に呼び続けた。

「別メニューですがここでトレーニングをさせてもらえることは、トムさんも自分に期待してくださっているからだと思うので、そこは有利にとらえています。ベルギー戦で結果を出した上でのこういう判断だと思うから、頑張り甲斐があります」と、ケガをしたことで焦りはあるはずだが、ホーバスヘッドコーチから得た信頼を自信に変えてトレーニングに励んでいた。

ケガの影響もあり、8月末のチャイニーズ・タイペイとの国際親善試合には招集されなかった。「試合を見ていて思いましたが、自分もうまく行かない時ってだいたい同じような感じだなって。そういう悪い流れの時にどうしたらいいのかと考えながら見ていました」

林咲希

「入る入らないを考えても仕方ない」

現在は、プレータイムに少し制限はあるものの、試合や練習をチームメートと一緒にできるぐらいまで回復している。アジアカップ前の最後の強化合宿ではすべての練習に参加していた。

今回、アジアカップを迎えるにあたり、武器である3ポイントシュートの感覚はどうだろうか。「シュートは、まだ打ち慣れていない感じはしますね。止まってシュートを打つ練習はやっていたんですけど、ムービングシュートはあんまりできていなかったから、そこに関して少し不安はあります」と口にするも、「それでも今までだってずっと練習をしてきたし、入る入らないを考えても仕方がないので、そこは意識せずに無で打つのみですね」と、力強く語った。

林にとって、このアジアカップは初めてのA代表での国際大会となり「今までは見る側だったから、見ている人の気持ちも分かるからこそ、応援してくれる方たちの期待に応えたい」と話す。

4連覇を目指すチームにおいて、林も目標達成の責任を担うことになる。4連覇へのプレッシャーはあるかと問うと、「あまり感じないですね。それよりも、このチームで勝ちたいという思いの方が強い」と、無理に自分にプレッシャーを与えるのではなく、目の前の1試合1試合に勝つことに専念している。

チームがアジアカップに向けてケミストリーを構築している時に、練習に参加できないことは苦しかったはず。しかし、その期間を乗り越えてチームに合流。アジアカップでも、チームに勢いをつけてくれる林のプレーに注目したい。