取材=小永吉陽子 写真=FIBA.com

3番手のポイントガードが『日本の救世主』へと躍進

アジアカップ準決勝、日本は中国相手に競り勝ち、決勝進出を決めた。この試合で勝利の立役者となったのは藤岡麻菜美。昨シーズンのWリーグで新人王になった23歳、リオ五輪には最終候補まで残ったが落選して参加できず、このアジアカップがA代表で初めての国際大会となる藤岡だが、その才能を遺憾なく発揮している。

この中国戦ではキャプテンで正ポイントガードを務める吉田亜沙美がケガで欠場。ここまで吉田とのツーガード起用を主として活躍してきた藤岡に先発のチャンスが巡って来た。吉田の欠場は日本にとって大きな不安要素だったが、終わってみれば藤岡が36分の出場で19得点8リバウンド14アシストと大活躍。日本の司令塔として文句ナシのパフォーマンスを見せ、強豪との混戦を制する原動力となった。

試合後に「素直にうれしいです」と語った藤岡は、先発に抜擢されたことについてこう語る。「ああ、リュウさんいないのかあ、と思ったけど、でも逆に個人的にはチャンスでもあったので、日本のポイントガードは藤岡だっていうところを見せられるように、気持ちで負けないように頑張ろうと思いました」

「まだまだリュウさん(吉田)に比べたら何もできないんですけれど、筑波大学でキャプテンでチームを引っ張ってやったたように、そういう気持ちだけでも持ってやると、プレーにもそのまま出ると思ったので、そこは意識しました」

大会前に、吉田や町田瑠唯がいる中でプレータイムを得るためのアピールポイントを「自分でドライブを仕掛けて得点まで持っていけるところ」と語っていた藤岡は、その通りのプレーを披露し、クロスオーバーからのドライブを何度も決めた。「あれが自分の持ち味だから、止められない限りそれはやり続けて、そこからチャンスメイクができたので、それは良かったと思います」と藤岡は語る。

「心は熱いけど、頭はクールにちゃんと分析しながらできた」と満足気。「自分自身はやることができたし、トムさんから求められていることはちゃんとやりきれたと思います」と自身の出来を振り返る。

もはや日本代表に欠かせない戦力となった藤岡。今夜23時30分からのオーストラリア戦でも強気なアタックを見せてもらいたい。