自分の道を突き進むことを決断したアービング
キャバリアーズにトレードを要求したという仰天ニュースが飛び込んだ先週末から、カイリー・アービングの周辺は慌ただしさを増している。
2014年にレブロン・ジェームズがキャブズに復帰して以降、アービングはレブロンに次ぐ2番手としてチームを牽引。2016年のNBAファイナルで宿敵ウォリアーズを倒してNBA初優勝を達成した際には、第7戦の終盤に勝利を決定づけるクラッチショットを沈めたが、やはりキャブズはレブロンのチームという印象が今も強い。
「レブロンのチーム」という状況が変わらないことに嫌気が差したとしても無理はない。アービングのキャリアを考えた場合、正真正銘のエースとしてチームを引っ張る役割を求めているのだとしても、それは自然な考え方だ。
そのアービングの心情について、トレイルブレイザーズのエース、デイミアン・リラードが「彼の気持ちを尊重すべき」とコメント。リラードは『Sirius XM NBA radio』に出演した際、次のように続けた。
「誰もカイリーの立場に立ったことがないのだから、彼の気持ちを尊重してあげるべきだ。彼は男だ。最終的には自分の考えに沿って進むし、自分がやりたいことをするはず。その気持ちをリーグ全体が尊重しなければならない。キャブズは優勝したし、他チームと同様に浮き沈みを経験している。それでもカイリーは違う方向に目を向け、気持ちを切り替えた。彼の考えを尊重してあげないといけない」
現代のNBAでは、優勝するには最低でもスター選手3人が必要と言われている。アービングもまた、レブロン、ケビン・ラブとともに念願の初優勝を達成し、3年連続してNBAファイナル進出を果たしたが、『より上を目指す』のはプロフェッショナルとしては正しい姿だ。また仮にそれが単なるエゴだったとしても、スター選手としての自我に抗うのは難しい。
キャブズはアービングの件が表沙汰になった後、同ポジションのデリック・ローズとの契約を正式に発表。もはや、トレーニングキャンプまでにアービングを含む大型トレードが成立するのは間違いない情勢となっている。どのチームに移籍しようとも、リラードが言うように、アービングの立場と心情を理解し、尊重することが何よりも必要なのではないだろうか。他の選手と同様に、アービングにはアービングにしか分からない選手としての望みがあるのだから。