「自分の持てる力のすべてをコートに置いてくる」
アーリーカップ関東の初日、サンロッカーズ渋谷と川崎ブレブサンダースによる試合はともにベンチ登録が8人のみと寂しい状況となった。試合は第3クォーター序盤に怒涛の16連続得点で突き放したSR渋谷が74-66で勝利した。
この試合、SR渋谷を牽引したのが新加入のスペイン出身セバスチャン・サイズだ。前半を終えた時点では6得点に留まっていたが、後半になるとゴール下へのアタックだけでなく、ミドルシュートを確率良く決めて、最終的にフィールドゴール15本中10本成功の20得点、さらには15リバウンド3アシストの活躍だった。
「まだまだチームとして、オフェンスが上手く行くためのリズムを探している途中だけど、全体的には良いパフォーマンスだった。結果として勝つこともできたしね」
このようにSR渋谷でのお披露目となった試合を振り返ったサイズは、自身のプレースタイルをこう説明する。「僕はとてもアグレッシブな選手で、試合では自分の持てる力のすべてをオフェンスとデイフェンスの両方で出し切ってコートに置いてくる。そして、相手と真っ向から戦うのが好きで、何よりも勝つことを愛している」
スペイン代表にエール「金メダルを取ることを望む」
昨シーズンはスペイン1部リーグのテネリフェに所属し、最高峰ユーローリーグより格は落ちるが、ヨーロッパの強豪が集うバスケットボールチャンピオンリーグにも出場。ヨーロッパでの実績も十分な彼が日本に新天地を求めた目的は「今までと違う経験を積むため」。そこにはエースとして大きな責任を担い、チームを勝利に導きたいという思いも含まれている。
「日本に来たのは、新しいスタートを切りたいと思ったから。言葉も学んで、物事がよりうまく行くようにしたい。挑戦への準備はできている」と語るように、自ら進んで異国の文化に馴染もうとする姿勢も持ち合わせている。
ちなみに彼は、スペイン代表としてワールドカップ予選で全12試合出場、平均6.7得点、5.8リバウンドと本大会出場に貢献した選手の一人。本大会のメンバー入りは逃したが、もちろんスペイン代表への思いは強く、ワールドカップでの戦いぶりも追いかけている。
「明日の決勝が楽しみだ。スペイン代表はここまで素晴らしい戦いをしていて、みんなを誇らしい気持ちにさせてくれている。代表が再び金メダルを取ることを望んでいるよ。オーストラリアとの準決勝も見ていた、ダブルオーバータイムまでもつれるファンタステイックな試合で、どちらにも勝つチャンスがあったけど、スペイン代表はどれだけタフなチームかを示したよね」
来るべきBリーグ開幕に向けて、サイズは「勝利をもたらすためにこのチームに来た。僕たちには大きなポテンシャルがあり、チーム一丸となれば素晴らしいことが待っているよ」と意気込みを語る。Bリーグ初年度以来のプレーオフ復帰を狙うSR渋谷の新たな大黒柱となる彼が、開幕からコートで躍動してもそれは驚くことではない。そう思わせるだけのパフォーマンスを、アーリーカップ初日から披露している。