写真=Getty Images

ハーデン、ポール、アンソニーの『ビッグ3』誕生間近?

カーメロ・アンソニーにとって、ニックスは特別なチームだった。

2011年2月にナゲッツから大型トレードで加入して以来、地元ニューヨークの顔として古豪ニックスを引っ張り続け、自身の目標であるNBA優勝のために尽力してきた。しかし在籍7年目となった昨シーズン、チームとの関係性が大きく変わった。

その発端は、2014年1月に球団社長に就任したフィル・ジャクソンの現場介入だった。ジャクソンが指導者時代にブルズとレイカーズに成功をもたらしたシステム『トライアングル・オフェンス』の導入を決定すると、同システムにフィットしないアンソニーの出場機会は減少。プレーオフ進出が絶望的となった昨シーズンの後半は若手を先発に起用し、エースのアンソニーがベンチから戦況を見守る試合も多くなった。

オフにはジャクソンがアンソニーをトレードする意思を明らかにし、「他チームで成功してもらいたい」とまで発言。そのジャクソンは、アンソニーと同じくチームの顔でもあるクリスタプス・ポルジンギスとの関係悪化も表面化し、6月末に解任された。先日ニックスは新体制を発足し、アンソニーと今後について話し合う可能性があると報じられたのだが、すでにアンソニーの心はニューヨークにはないようだ。

『SportsCenter』に出演した『ESPN』記者のエイドリアン・ウォジナロウスキーによれば、アンソニーはニックスに対し、ロケッツへのトレードを要求しているという。

今オフ積極的な補強を続けるロケッツは、6月下旬にクリッパーズとのトレードでクリス・ポールを獲得し、ジェームズ・ハーデンとの強力デュオを誕生させた。ウォジナロウスキーの情報が正しければ、優勝が目標のアンソニーは、ポール、ハーデンとの『ビッグ3』結成に強い関心を持ち、チーム再建に舵を切ったニックスにトレードを要求したのだろう。ニックスからすれば、選手との関係を悪化させたジャクソンを見限り、新チームのために残留するようエースを説得したかったのだろうが、アンソニーにとっては体制を刷新したから済むという話ではない。アンソニー本人はメディアに本心を語ったことはないが、これまでの経緯を考えれば、ニックスに対し不信感を持っていて当然だ。

アンソニーとニックスは、すでに違う道を歩み始めた。ロケッツへのトレードが成立するのも、時間の問題かもしれない。