
「40分を通して最終的に支配できるようなゲーム」
11月3日に『ウインターカップ2026』の出場校を決める福岡県予選決勝リーグが飯塚市体育館で最終日を迎えた。すでに2連勝を挙げて本大会への出場権を獲得していた福岡大学附属大濠は、予選1位を決める最終戦で福岡第一に80-50で勝利した。
大濠は先制点を挙げるも0-6のランを喰らうと、白谷柱誠ジャックが開始2分を過ぎたところで個人ファウルを2つとしてベンチに下がる。そこからは福岡第一のプレッシャーディフェンスに手を焼くが、エースの本田蕗以が気を吐き得点を伸ばして一進一退の攻防が続く。その後は、廣田翼とブタシュ ヴィンセント健太郎の献身的なオフェンスリバウンド、シックスマンとして存在感を発揮した中村文哉らが加点してリズムをつかむと、第3クォーターには本田のコースト・トゥ・コーストからのダンク、白谷の連続得点などで55-43と一気に引き離した。第4クォーターもコンスタントに得点を積み重ねると、福岡第一の1on1オフェンスに対してもきっちりと対応して相手を7得点に抑え、最後まで集中力を切らさず完勝した。
大濠の片峯聡太コーチは「去年はこの予選で(福岡第一に)負けています。『今年は何が何でも1位でウインターカップに出たいよね』という話をしていました。ですが、福岡第一さんも夏から間違いなく成長してきています。そういった中で、メンタル勝負になること、ターンオーバーを極力起こさないようにすること、それからディフェンスリバウンドに注力すること、この3つを勝利のポイントとして彼らに遂行させました。ですが僕の中でまだ50%ぐらいしか達成できていない状態でした」と振り返り、満足する素振りはなかった。
確かに、得点を奪われた後のアウト・オブ・バウンズをスティールされて連続得点を許したり、ダブルチームに身体が引いてしまいターンオーバーを犯す場面も見受けられた。しかし、本来の主力ガードである櫻井照大がケガの影響で欠場する中でも、平良は先発ガードとしてこの決勝もフル稼働してチームをコントロール。また、ブタシュも積極的にリバウンド争いに絡んでオフェンスリバウンドを奪い、1年生ながら留学生相手にポストプレーを仕掛けて得点のチャンスを広げるなど、ポジティブな面もあった。
片峯コーチも彼らの働きを高く評価する。「平良(孔龍)やヴィンセントが慌てずに40分間バスケットをやってくれたことは一つの収穫だと思っています。特にヴィンセントは思っていた以上に仕事をしてくれました。また、『40分間支配し続けよう』ではなくて『40分を通して最終的に支配できるようなゲームをしよう』と選手たちに言っていたので、前半は良くなかったですが、後半に入ってからはディフェンスで修正ができて、徐々に走る展開にも持っていけました」

「本当の意味でプラスの選手になってほしい」
収穫と課題の両面で実りの多い予選となったが、本大会に向けてステップアップが必要だと片峯コーチは言う。特に本田の活躍とガード陣の成長はカギになると続ける。
「(本田の活躍は)点数だけ見れば、『すごく良くやった』と言えるかもしれませんが、その分、彼のシュートアテンプトも多いわけです。もっと自分のシュートなのか、仲間のオープンショットなのか、という状況判断ができるようになってほしいです。今日の試合では、起こしてはいけないターンオーバーをしていたのも彼だったりするので、相手のプレスに対して用意していたポジショニングを遂行する力も必要です。31得点でしたが、(ターンオーバーによって)マイナス10点ぐらいの影響が出ています。そこはしっかりと彼と話をして、本当の意味でプラス31点の選手になってほしいと思います」
また、平良がゲームコントロールを完遂する一方で、控えガードの黄木幹太や真砂壮志がターンオーバーを犯した際に、容赦無く1プレーで交代させる場面も見受けられた。彼らが成長していくことも重要だが本戦までの限られた時間の中で、何が最適解か模索を続けていると言う。「今は永善(元希)がバックアップとして頑張ってくれていますし、黄木や真砂もいますが、僕の中では疑問が拭えません。ビッグラインナップにしてパッシングで繋いでいくのもアリかなと思っていますが、ウインターカップという一発勝負の舞台で、これまでにやっていないことを実行するのは難しい部分もあるので、そこは僕の中でもう一度整理して進めます」
櫻井が本大会に出場できれば問題は一つ解消されるが、片峯コーチは「彼の骨の治癒度合いで最終決定しようと思っています。将来がある選手なので、リスクも考えながら復帰は定めていきたいと思います」と、彼の復帰を急ぐことはしない。
ウインターカップは12月23日から始まる。まだまだ完成形に到達していないという片峯コーチが、この1カ月半でどのようなチームに仕上げていくのか、大会3連覇に向けて最終調整が始まる。