「勝ち方を分かっていないということが一番大きい」

川崎ブレイブサンダースは10月31日、11月1日とホームで開催された横浜ビー・コルセアーズとの神奈川ダービーに連敗。シーズン4勝9敗と苦しい戦いが続いている。

川崎は10月26日にアウェー宇都宮ブレックス戦で92-89で勝利。後半の失速という課題を抱えている中で、第4クォーターで29-18とビッグクォーターを作って逆転勝ちと得るものが大きかった。しかし、神奈川ダービーは2試合とも前半は互角の展開を演じながら、後半に我慢しきれずにミスから自滅と、開幕当初から続く悪癖を治すことができなかった。

Bリーグ初年度のファイナル進出、2度の天皇杯優勝など多くの勝利をつかんできた川崎だが、絶対的な存在だったニック・ファジーカス引退後の過去2シーズンは18勝42敗、16勝44敗とリーグ下位に低迷。今シーズンは、琉球ゴールデンキングスで5年連続ファイナル進出の金字塔を打ち立て、Bリーグでの勝ち方を熟知する桶谷大を新指揮官に招聘し、外国籍とアジア/帰化枠の4名を全て入れ替えるなどチーム刷新で立て直しを図ったが、ここまで厳しい道のりが続いている。

桶谷ヘッドコーチは、「勝ち方を分かっていないということが一番大きい。我慢強さがないことも間違いないです」と同じ轍を踏んでいる現状の根底にある問題を語る。そして、後半に崩れてしまう原因には、やるべきことをやらない『負の積み重ね』がもたらす影響があると見ている。

「余裕を持ってプレーできずにターンオーバーが増えてしまう。オープンショットを打てる場面なのに打てなかったり、キックアウトのパスを出したらオープンになるのにそこに出せなかったりすると、僕だけでなく、しっかりと決まりごとを実行している選手たちも『何をやっているの?』とフラストレーションが溜まってしまいます。それが積み重なった結果として勝手に1対1を始めて、5対5ができなくなってしまう部分はあると思います」

「うまく行っているプレーがあっても、選手交代をしたらできなくなる」

また、指揮官は個々の改善なくしてチーム全体のパフォーマンス向上はないと強調する。「チームプレーの遂行に問題がある、ノンシューター扱いされているのに同じ場所でボールが来るのを待ち続けてしまう、ディフェンスでプレッシャーをかけられない、など、選手一人ひとりに違う課題があります。それぞれが現状の課題にしっかりと向き合っていかないと、チームとしてスタンダードを上げることはできないです」

かつての川崎なら、困った時はファジーカスにボールを預けることで、彼を起点とした阿吽のプレーでなんとかなる部分もあった。だが、今のチームには苦境になった時に頼るべき拠りどころがない。指揮官も「今のチームは『鉄板プレー』が作れていないです」と問題を認める。

そしてその要因には、それぞれの試合で機能している攻め方を徹底できないチームとしての遂行力の低さがあると話した。「うまくいっているプレーがあっても、選手交代をしたら同じことができなくなる。打開できているプレーを続けられないので、『相手が対応したら次にどういうアクションをしよう』という発展した段階に進めない。そこは歯がゆいところです」

このように今の川崎はさまざまなな問題を抱えているが、指揮官は「じわりじわりと良くなっています。盛り返していくためには、この苦しい時期を乗り越えるしかないです」と明るい兆しが見えていると語る。とはいえ、当たり前だが試合を重ねるに連れて良くなっていくのは、どのチームも同じだ。

川崎がここから盛り返していくには、成長速度で他のチームよりも先に行かなければいけない。過去2シーズンと同じ結末へとこのまま進んでしまうのか、それとも違うところを見せられるのか。FIBAブレイクで中断期間に入るまでの残り6試合は、川崎にとって今シーズンの大きな分岐点となる。