安易に強豪を選ぶのではなく、発展途上のチームを選択
NBA史上唯一シックスマン賞に3度輝いた実績を持つジャマール・クロフォードは、今夏クリッパーズからホークスにトレードされた後に解雇された。『The Vertical』は、フリーエージェントとなったクロフォードがティンバーウルブズとの契約に合意したと伝えたが、まだ正式契約は発表されていない。
正式発表を待たずして『Minneapolis Star-Tribune』の取材を受けたクロフォードは、ウルブズに魅力を感じた理由を聞かれ、意外なことを挙げている。
「ウルブズの真剣さが伝わってきた。すぐに契約を決めようという姿勢が伝わった。そういうチームこそ自分に相応しいと思ったし、チームにもフィットできると感じた。自分くらいのキャリア16年にもなれば、優勝を狙えるチームに移籍するのは難しいことではない。もちろん、ウルブズが優勝を狙えないと言っているわけではないよ。でも、優勝を狙うことは重要ではないんだ」
すでに優勝を経験している選手の言葉なら理解できる。しかしクロフォードは、まだNBA頂点に立った経験がない。それでもウルブズを選択した理由は、ジャーニーマンの彼らしいものだった。
「僕は、優勝候補と言われるチームと戦いたい。キャバリアーズはファイナルを熟知していて、優勝経験もある。ウォリアーズも一緒だね。もし僕が彼らのように優勝が義務付けられているチームに移籍して、もし勝てたとしても、その次に何がある? 時には、ある地点から次の段階に移行しようとしているチームの力になる方が満足感を得られることだってある」
生え抜きのアンドリュー・ウィギンズ、カール・アンソニー・タウンズに加えて、オフにブルズからジミー・バトラーを獲得し、ポイントガードのジェフ・ティーグら実力者たちを集めているウルブズは、2017-18シーズンのコンテンダー(挑戦者)として注目されている。そのチームに、いぶし銀シューターのクロフォードが加われば、チーム力はさらに増す。
近年では、ベテランたちが優勝のためにこぞってキャブズかウォリアーズに移籍している。それぞれの決断は尊重されるべきだが、「節操がない」という声が出るのも理解できる。それだけに、まだキャリアを通じて1度も優勝していないクロフォードの選択からは、NBA選手としての矜持を感じずにはいられない。
37歳という年齢を考えれば、現役引退はそう遠くない。しかし、数年後のウルブズのために力を尽くすベテランの姿から、若い選手が得られるものは決して小さくはないはずだ。