瀬川琉久

「自分としてはスタートのほうがやりやすいです」

10月17日、千葉ジェッツは島根スサノオマジックを97-78で撃破し、今シーズンのホーム戦初勝利を挙げた。

この試合、千葉Jの瀬川琉久は21分49秒出場で21得点3リバウンド5アシストの活躍だった。特に第4クォーターでは7得点4アシストで、千葉Jの大きな課題となっていた第4クォーターの失速を改善するのに大きく貢献した。

瀬川は「ガードとしてゲームコントロールをして、速い展開のバスケットをできました。そして自分の武器であるジャンプシュートをコートで表現できたのは良かったと思います」と試合を総括。そして自己最多タイとなる21得点については、このように語る。「チームが勝つために何ができるかをずっと考えていたので、得点は意識していなかったです。イージーレイアップを外す場面が何回かあり、それを全部決めていたら30点近く取れたいたので、まったく満足はしていないです」

今シーズンの瀬川は、アドリアン・コヴァーチ新ヘッドコーチの下、開幕から先発出場を続けている。そしてルーキーイヤーだった昨シーズンは、平均11分32秒のプレータイムで、4.2得点、1.8アシスト、1.2リバウンド、フィールドゴール成功率38.1%だったが、今シーズンはまだ8試合を終えた段階とはいえ、平均20分、10.4得点、4.1アシスト、2.6リバウンド、フィールドゴール成功率44.6%と大きく成績を伸ばしている。

先発出場が一度もなかった昨シーズンを踏まえ、瀬川は起用法の変化をポジティブにとらえている。「途中から出てくるとゲームの流れを変えないといけない。スタートが良い時は、そこから悪くできないなど、いろいろプレッシャーもあり、自分にとしてはスタートのほうがやりやすいです」

そして新指揮官との相性の良さを感じている。「ヘッドコーチのやりたいバスケットボールは、自分の得意とするスタイルとマッチしています。だからこそコーチも自分を先発として使ってくれていると思っていますし、交代で富樫(勇樹)さんが出てくれることで思い切ってプレーができます」

瀬川琉久

「昨シーズンは自分の成長のための材料集めの時期だった」

現状、瀬川はポイントガードの先発だが、試合終盤などここ一番の勝負どころではベンチに下がり、富樫がコートに立っている。「クラッチタイムに出るに越したことはありません。自分のバスケットボール人生において、この経験は非常に重要になってくるので、プレータイムを奪えるように意識はしています」と語る瀬川だが、同時に「今は本当に勝ちがすべてで、富樫さんに頑張ってほしい気持ちだけです。試合の流れもありますし、チームの勝利のために何が最適なのかを考えています」と個人のエゴは二の次と強調する。

瀬川は東山3年時の2025年1月、特別指定選手(プロ契約)として千葉Jに加入し、2024-25シーズンは22試合出場で平均7.3得点、2.0アシストと鮮烈なBリーグデビューを果たした。そこから初めてフルシーズンを戦った昨シーズンは、本格的なスカウティングを受けた影響もあって軒並みスタッツを落とす厳しい1年を過ごした。

昨シーズンについて瀬川は、「今の自分は何ができていないかについて、真摯にずっと向き合っていました」と振り返り、その経験を糧にすることで成長の手応えを得ている。「昨シーズンは自分の成長のための材料集めの時期だったと思っています。オフシーズンに頭の中を1回リセットすることで、いろいろなことが整理されました。それを経ての今なので、苦難を乗り越えた意識はあります」

今の千葉Jはケガ人が続出したこともあって3勝5敗と常勝軍団らしからぬ苦戦が続いているが、瀬川は確かな進歩を語る。「ここまでコーチがやりたいバスケットをある程度はできていたと思いますが、細かい部分がずっとできていませんでした。みんなが共通理解を深めて、この点を意識してやっていけば絶対にチームはうまく行くと思っています。これまで第4クォーターで巻き返されていたのが、今日はしっかり第4クォーターも勝ち切れました。コーチのバスケットが徐々に浸透してきていると感じています」

まだ、瀬川は現在20歳で、今シーズンの多くのルーキーより2歳以上若い。さらにオン・ザ・コートフリーで日本人ガードにとってより厳しい状況の中、平均20分出場、2桁得点、4アシストは傑出した数字だ。千葉Jの巻き返しに欠かせない戦力として瀬川は今、大きな飛躍の時を迎えようとしている。