桶谷HC「ボーンヘッドが多く、正直『えっ?』っていうミスがありすぎます」

10月16日、川崎ブレイブサンダースは茨城ロボッツと対戦し74-82で競り負けた。

試合は序盤から一進一退の攻防となり、僅差の息詰まる展開が続いていく。だが、第4クォーターになるとプレーの遂行力で茨城が川崎を上回る。第4クォーターのターンオーバー数は茨城の0に対して川崎は6を喫し、フリースローは川崎が7本中3本成功に対し、茨城は13本中13本成功。30得点を挙げたヴィック・ローに加え、第3クォーターまで無得点だった前田怜緒がこのクォーターだけで7得点と両ハンドラーの活躍によって茨城が粘る川崎を振り切った。

ここまで川崎は安易なターンオーバーやファウルによって相手に流れを渡してしまう試合が続いているが、今回もこの悪癖を改善できなかった。川崎の桶谷大ヘッドコーチも次のように試合を振り返る。「ターンオーバーを20個もしてしまい、ボールプレッシャーをかけられているのにボールを前に置いたところを叩かれてボールを失ってしまう場面が何回かありました。シュートチェックに行ってファウルをするところも含めて、基礎のところを少しずつ直していきたいと思います。簡単なことではないですし、時間はかかると思いますが、それでもやり続けるしかないです」

そして、いろいろとある改善点のところでも「まずはターンオーバーをなくしていきたいです」といかに安易なミスを減らせるかが立て直しの第一歩と強調する。「やっぱりボーンヘッドが多く、正直『えっ?』っていうミスがありすぎます。まずは個々のファンダメンタルを上げていく。5対5で絶対にやってはいけないミスをなくしていくことで、初めて戦術が入ってチームバスケットができます」

このようにネガティブな材料が目立った一戦の中でも、明るい材料が米須玲音の奮闘だ。今シーズンの米須は開幕戦で15分半のプレータイムを得るも、その後はフィジカル不足によるディフェンス面や、外角シュート不足で相手に引いて守られた時の停滞感から出番を大きく減らし、前の試合ではわずか2分半の出場時間に終わっていた。

それがこの試合では22分13秒出場し、第4クォーターも8分22秒と勝負どころでコートに立ち続け、5得点8アシスト3リバウンド1スティールとシーズンベストの活躍ぶりを見せた。桶谷ヘッドコーチも「米須は良いオフェンスをしてくれました」と評価していた。

「自分がペイントアタックできている時間帯は良いオフェンスができている」

米須は東山高校、日本大学でも絶対的な司令塔を担うなどエリート街道を歩んできており、彼にとってここまで出番がなかったのはバスケ人生で初めてのことだった。この現実に「やっぱりヘッドダウンしてしまったところはあったかもしれないです」と苦しい思いを抱えていた。それでも次のマインドセットで、やるべきことにフォーカスしていたと米須は明かす。

「先輩方やスタッフにも言われましたが、まずは自分を信じる。そしてプレータイムをもらうためにはどうしたらいいのか、(気持ちを切らさずに)我慢していこうと自分に言い聞かせる。今日みたいにプレータイムをもらえた時に、自分がどうやってチームにプラスをもたらせるかを考えながら自主練習に取り組んでいました。今日は少しその答えが見えたところはあったと思います。ただ、まだまだ自分の弱さが出てしまったので、そこをどんどん削っていきたいです」

この試合では視野の広さを生かした正確なパスさばきで味方のシュートチャンスを次々と作り出し、彼らしいクリエイト力で違いを生み出した。ただ、彼がまず重視していたのは、課題と見られているディフェンスだった。「自分のところから攻められるのがすごく嫌なので、今日はまず積極的なディフェンスから流れを作って、チームに勢いをもたらすことを意識していました」

そしてオフェンス面では次の課題を挙げる。「相手はスイッチディフェンスが多い中でも、自分に対してはスイッチしないように守ってきました。そこでアタックを仕掛けることで守備のズレを引き出してからアシストしようと意識していました。ただ、ボールが回らずにタフショットで終わる場面が何度か見られたので、そこで自分がポイントガードとしてボールを要求して、最後に自分のプレーから良いシュートで終わらせる。オフェンスでもっと積極的にボールに絡むことを意識していきたいです」

本人も言及しているように、米須がプレータイムを伸ばしたのは守備のハッスルに加え、茨城が彼に対して引いて守らず、前から当たってきたことで逆に突破しやすくなった面もあった。これから引いて守る相手に対して、どうしていくべきかを米須はこう語る。「外から打つことも大事ですけど、自分がペイントアタックできている時間帯はチームとしても良いオフェンスができていると感じています。まずは外から打つよりも、いかにペイント内へと入っていき、そこから味方にあわせのパスを出していけるかを一番に考えています」

これで川崎は2勝5敗。シーズン序盤とはいえ、上位戦線にくらいついていくにはこれ以上の借金は許されない。この試合の会見で、桶谷ヘッドコーチは「早く勝ちたいと焦る気持ちもありますが、そんな簡単な話ではないかなと。(このまま負けが込めば)僕がクビになるとかいう話もあるかもしれないです。それはプロの世界で仕方ないですし、目の前のやることをやるしかないです」と大きな危機感を感じている。ここからの立て直しには、チーム全員が指揮官と同じ崖っぷちのマインドセットを持って試合に臨めるかが何よりも大切。そして、この悪い流れを変えるキーマンとして、唯一無二のパスセンスを誇る米須のステップアップが求められている。