写真=野口岳彦

「外からのシュートやオフェンス力を武器に」

Bリーグ初年度に西地区を制したシーホース三河が、前アルバルク東京の松井啓十郎を獲得した。

松井はモントローズ・クリスチャン高校、コロンビア大学と、高校からアメリカでプレーした。今でこそ、ジョージ・ワシントン大学の渡邊雄太、ゴンザガ大学の八村塁など、アメリカでバスケットを学ぶ選手が増えているが、当時はそのような選択をする選手は少なく、松井はパイオニア的存在だ。

2009年にレラカムイ北海道(現レバンガ北海道)で選手生活をスタートさせ、日立サンロッカーズを経て加入したトヨタ自動車アルバルク(現アルバルク東京)で昨シーズンまでの6年間を過ごした。

松井はリーグでも屈指のピュアシューターで、3ポイントシュートが最大の武器だ。昨年は日本代表候補に選出され、過去には日本代表でプレーしている。

昨シーズンは39.5%と40%をわずかに下回ったが、8年間の通算成功率は41.9%と高い水準をキープしている。もっとも昨シーズンはシュート確率よりもプレータイム確保に苦しみ、平均16.8分、6.1得点はいずれもキャリア最低の数字となった。パスで周囲を生かすよりも自らのスキルで勝負するディアンテ・ギャレットが中心となったA東京で、松井が割を食う形になったのは間違いない。

そのギャレットは退団を決めたが、松井もまた新天地で復活を期すことになり、クラブを通じて次のようなコメントを発表している。

「毎シーズン優勝争いをしているシーホース三河という伝統あるチームに加われたこと、温かく迎え入れてくれた皆さまに感謝しています。外からのシュートやオフェンス力を武器にチームの勝利に貢献したいと思います。また自分が得た経験・知識・技術が、若手のみならず、チームメイトの刺激になればとも思っております。僕自身、昨シーズン成し遂げられなかった『優勝』を今季もこだわって目指して行きます。皆様の応援をぜひともよろしくお願いいたします」

三河は柏木真介、長谷川智也、ギャビン・エドワーズというセカンドユニットの主役たちがチームを離れたが、北海道から西川貴之、京都ハンナリーズから村上直、そしてA東京から松井を獲得し、ただでさえ充実していた戦力をさらに強化している。

比江島慎、金丸晃輔、橋本竜馬と日本代表でも軸となる選手を抱え、強力インサイド陣を擁する三河。西地区から中地区へと戦いの場は移ったが、三河の強さは変わらない。