「審判員への誹謗中傷は断じて認められるものではない」

10月7日、Bリーグはメディア向けに前例のない取り組みを実施。「開幕週における競技領域の事象に関するメディア向け囲み取材」と題し、Bリーグ常務理事の増田匡彦が、開幕節等で話題となった審判の判定事象について説明した。

今回取り上げられたのは9月24日の群馬クレインサンダーズvsアルティーリ千葉、27日の信州ブレイブウォリアーズvs富山グラウジーズの2試合。前者は、試合終盤のブザービーターで決着がついた試合で、決勝点を決めたスタンリー・ジョンソンが「ハーフラインを踏んでいたのではないか(バックコート・バイオレーション)」という議論が巻き起こった。

これに対し、増田氏は現行のFIBAルールにおいてこの事象がIRS(インスタント・リプレイ・システム/ビデオ判定)の対象外であることを説明しつつ、現場では審判が正しくハーフラインを目視確認するプロセスを踏んでおり、限られた条件の中で正当な判断がなされたと強調した。

信州vs富山はダラル・ウィリスジュニアがディスクォリファイングファウルを宣せられた試合で、その後の規律委員会およびJBA審判部による事後検証の結果、フレグラント・ファウル相当へダウングレードされ、追加の出場停止処分が科されないことになった。

これは一見すると現場の誤審と受け取られかねない決定だが、増田氏は「これが間違いだったというわけではない」と強調した。「選手のやり取りや試合の流れ、出血みたいなところを全て加味して、審判の皆さまがディスクオリファイングと判断したことは当然支持される対応だと思っていますので、この判定がミスジャッジではないと考えています」

現在、Bリーグの試合で笛を吹くのはプロ審判だけでなく、本業を持ちながら兼業で支えている審判員も多い。彼らは試合前に相手チームのスカウティングや傾向分析を徹底して行い、試合後には映像を見返し、次の試合へ向けた振り返りと修正を重ねている。Bリーグの過密日程とハイレベルな競技性を支えているのは、こうした審判員たちの努力と情熱に他ならない。

しかし近年のSNS社会においては、一部の映像だけが切り取られて拡散され、特定個人に対する名指しの批判や非難が過熱しやすい。増田氏は「SNS等での審判員への誹謗中傷は断じて認められるものではない」と言い、「もう少し、審判の皆さんを守るルールやシステムみたいなものを、積極的に導入していくべきではないか」と続けた。

今回Bリーグが踏み出したブリーフィングによる情報共有は、判決を下すためのものではなく、判定の仕組みと限界を正しく共有し、議論の健全化を図るための第一歩だ。判定の透明性を高めるシステム(IRS適用拡大など)の検討を進めると同時にリーグ・クラブ・メディア・ファンが一体となって審判をリスペクトする文化を醸成していくことが今後必要となる。