ダブルチームやローテーションが向上した堅守が光る
U-19ワールドカップは昨日が最終日。ベスト16でイタリアに敗れ、裏トーナメントである9位-16位決定戦に回った日本だが、韓国、エジプトに勝ち、最終戦では9位を目指してプエルトリコと対戦した。
序盤は日本のディフェンスが目立つ展開に。ここまで7試合を戦う中で、日本のディフェンスはルールが明確になり、ダブルチームやスイッチのローテーションが向上。また八村塁、シェーファー・アヴィ幸樹、増田啓介はプエルトリコ相手にも高さ負けせず、課題だったリバウンドでも対等に渡り合った。
第1クォーター、5分が過ぎたところで積極的なダブルチームからボールを奪い、重冨周希が持ち込んで八村塁のアリウープが決まり8-4と先行する。また足を負傷した西田優大の代わりに先発した杉本天昇が、2本の3ポイントシュートを沈めリードを保った。パスコースをふさがれてドリブルが多くなったところを狙われ、連続でボールを奪われるなど、突き放すには至らないが、フリースローの数で上回った日本が33-29と4点リードで前半を折り返した。
最後を託した八村のシュートが外れて大接戦を落とす
ところが後半に入ると突如、日本のディフェンスが崩れてしまう。強引な1on1からのドライブを止められず失点を重ねた。ドライブをケアするためにゾーンに切り替えるも、今度は3ポイントシュートを決められてしまう。ディフェンスが崩れたことでオフェンスにリズムが生まれず、日本のシュートはリングにはじかれ続けた。
頼みの綱の八村も不用意なパスをスティールされ速攻を食らうなど、0-14のランを浴びて逆転を許す。ここで踏ん張ったのが増田。ショットクロックわずかな場面で沈めたミドルシュートで悪い流れを断ち切ると、最後のポゼッションでも3ポイントシュートを沈めて49-51と詰め寄った。
迎えた最終クォーター、日本はビハインドの時間が続くがディフェンスを立て直し、しぶとく食らい付いていく。そして残り4分13秒、水野幹太のドライブから八村へのアリウープ・タップが決まり61-61の同点に追い付くと、続くポゼッションで八村がフリースローを2本沈めて逆転に成功した。
そして試合は最終盤へ。残り24秒、杉本が1on1からミドルシュートを沈め67-66。だが残り16秒、エンドからのスローインを受けたヘスース・クルスにペイント内に押し込まれ、バスケット・カウントを許してしまう。ボーナスショットとなるフリースローが外れ、リバウンドを取った八村がドリブルで持ち込みシュートを狙うも、これが外れてタイムアップ。67-68と1点差で接戦を落とした。
「一番良い選手に託して入らなければ仕方がない」
「ギリギリのところで残念なミスがあったが、選手を批判するわけにはいかない」と指揮官のトーステン・ロイブルは語る。八村が狙った最後のシュートにしても「最後、一番良い選手に託しての塁が打って入らなければ仕方がないとするしかない。試合はそこではなく、その前で決まるので」と説明した。
実際、フリースローは19本中11本の成功(57.9%)と低調だった。プエルトリコのフリースローは8本中5本(62.5%)。10本以上多いフリースローを稼ぎ出しながら、ここで大きな差を付けられなかったのが悔やまれる。また接戦の中でターンオーバーからの失点も響いた。日本は13のターンオーバーを犯し、そこから15点を失い(プエルトリコは10ターンオーバー、8失点)、失点に直結するターンオーバーで差が開いた。
それでも、U-19日本代表がこの大会で見せたパフォーマンスが素晴らしいものであったことに異論の余地はない。もともと八村を筆頭にポテンシャルの高い選手が集まっていたが、まずは世界を相手に『臆する』ことがなかったのが大きい。チャレンジャー精神は持ちつつも、謙虚すぎず卑屈になることがなかった。これは今後、どのカテゴリーにおいても日本が世界と戦う上で最低限必要なマインドとなる。
また試合を重ねるごとにパフォーマンスが向上。八村というエースを擁しながらもそれに依存せず、それぞれが持ち味を発揮した。プエルトリコ戦では西田に代わってスタメン起用された杉本が15得点を記録。その杉本は「西田がいなくて自分がやるという強い気持ちでした」と語る。大会を終えて杉本は「一人ひとり個性が強いチームで、楽しくて毎日が充実していました。この12人でこの舞台に立てたことは自分にとっての財産になります」と振り返る。
日本代表は決勝のカナダvsイタリアを観戦した後、日本時間明日に帰国の予定。エジプトの地で大いに経験を積んだ彼らが、それぞれの舞台で活躍し、また大きく成長することを期待したい。