ライアン・ロシター

ビッグラインナップに確かな手ごたえ

アルバルク東京と琉球ゴールデンキングスによる『Bプレミア』の開幕戦は後半の失点を22に抑えたA東京が84-73で制した。

オン・ザ・コート・フリーをはじめとする新ルールの導入に伴い、各クラブが新たな戦術とラインナップの模索を続ける中、A東京のコート上にはいつもと変わらぬ頼もしさで躍動するライアン・ロシターの姿があった。ロシターは27分のプレータイムで得点こそ4に留まったが、8リバウンド7アシスト2スティール4ブロックと攻守で圧倒的な存在感を見せた。新戦力のキヨンテ・ジョンソンとディー・ジェイ・ホグの2人で52得点を挙げる中、ロシターは黒子役に徹することでチームを勝利に導いた。

「今日はキヨンテやディー・ジェイが当たっていました。自分のアテンプトが少ない試合もあれば10本打つ試合もあります。リバウンドやディフェンス、つなぎ役に徹して、チームの潤滑油になることが自分の仕事だと思っていました」

今シーズンの大きな見どころの一つが、帰化・アジア枠と外国籍選手を同時に並べる『大型ラインナップ』の運用だ。ロシター自身、プレシーズン中はケガの影響もあり、実戦でこの構成を試す機会は限られていたというが、蓋を開けてみればその完成度と破壊力は圧巻だった。この試合ではロシターとホグ、ジョンソンに加えラクラン・オルブリッチが並び、そこにテーブス海や小酒部泰暉を起用するラインナップが使われた。ロシターはA東京の新たな武器をこのように説明する。

「あのラインナップの強みは、コート上の全員がハンドラーになれて、ドリブルもプレーメークもできる点にあります。ミスマッチを攻めながらかなり自由にプレーできるし、ディフェンス面でも、全員が良いディフェンダーだからスイッチ対応が可能になります。カイ(テーブス海)は非常に優れたピック&ロールプレーヤーで、スペースがあれば自分で打開して展開を作ってくれるオフェンスの利点があります。一方でオサ(小酒部泰暉)はリーグ内の誰でも守れるので、1番から5番まで全ポジションでのオールスイッチが可能になります。カイのオフェンス力、オサのディフェンス力と、それぞれの強みがあるので、今後さらにラインナップの精度を高めていきたいです」

ライアン・ロシター

「ゲームの指揮を執るのはとても簡単でした」

新たな指揮官を迎えたチームにとって、ヘッドコーチとあらためて信頼関係を築くことは決して簡単なことではないが、ロシターはすでにライアン・リッチマンヘッドコーチと良好な関係性を築いている。リッチマンヘッドコーチは「今日は本当にロシターに助けられたと思っています。彼は素晴らしい選手ですし、味方になってみるとコート上のコーチ力や存在感はすごく大きいと感じています」と称賛した。

ロシターも「お互いに強い信頼感があります」と強調する。「彼からは『何か見えたら自分の判断でプレーをコールしていい』と言われていますし、練習前後に見えたことについてよく話し合っています。今日はディー・ジェイとキヨンテが驚異的な活躍をしてくれたので、彼らがあれだけ決めてくれれば、ゲームの指揮を執るのはとても簡単でした」

リッチマンヘッドコーチは開幕戦で快勝したにもかかわらず、「スマホの電源を切り、SNSの称賛から離れろ」と、選手たちにアドバイスしたという。これは目先の勝利にとらわれず、常に一定のメンタルを保つことの重要性を選手に伝えた形だ。そして、この指示について問われたロシターは、ニヤリと笑いながらこう答えた。

「私はSNSをやらないから問題ないよ。カイが対応できるかは分かりませんが(笑)。でもコーチのメッセージは正しく、常に一喜一憂しないという姿勢が大切です。勝ったからと浮かれず、負けたからと落ち込みすぎず、イーブンなメンタルを保つこと。明日は琉球がより強い気持ちで挽回してくるはずなので、自分たちのやるべきことに集中するだけさ」

ロシターは日本のバスケットボールが進化を遂げる過程を常に第一線で目撃してきた。時代が変わり、ルールがどれほど変わろうとも、彼のバスケットボールIQ、泥臭いハードワーク、そしてチームを勝利へと導くリーダーシップが変わることはない。「NBL、Bリーグ、Bプレミアと、日本で3つ目のリーグになりますが、どんなルールでもアジャストして、チームに必要な役割を全うするだけです」。そう語るロシターが、王座奪還を目指すA東京の心臓部であることは間違いない。