これまでの反省「自分がチームを勝たせるメンタリティが足りていない」
大阪エヴェッサの牧隼利は今シーズンで在籍3年目を迎える。2シーズン前は29勝31敗とほぼ5割の勝率を残したが、昨シーズンは23勝37敗とチャンピオンシップ戦線に絡むことができず、自身も34試合出場に留まる消化不良な1年だった。
過去2シーズンについて、牧はこのように振り返る。「チームとしてヘッドコーチが変わり、選手も大きく入れ替わった2年間で、なかなか結果に繋がらない歯痒さみたいなものはあります。ただ、着実にカルチャーの部分を積み重ねることができています」
今シーズンの大阪は、Bリーグ屈指のビッグマンとして実績十分のセバスチャン・サイズ、トルコの強豪ガラタサライに所属していたジェイムズ・パルマー・ジュニアなど強力な即戦力が加入した。さらに上位チームは10億円を超える総年俸だった中、最大8億円というサラリーキャップ制度が導入される。牧は「僕たちみたいなチームにとってチャンスが増えた面はありますが、一方で言い訳ができないルールだと思います。そういった点ですごく楽しみですし、結果にこだわりたい1年です」と、意気込んだ。
今シーズンこそ結果を出すためにも、彼は自身のプレースタイルの変革に取り組む。これまでの牧は得点やアシストなど数字は意識せず、チームメートを生かす潤滑油として勝利に貢献することを重視するタイプだった。しかし、今の牧は「シンプルに得点力が足りていないと思います。今でも(スタッツを)そこまで気にしているわけではないですが、外国籍選手だけでなく、日本人選手のところでも得点は必要なので、そこで僕がもっとステップアップできたらと思います」と、得点への意識を高めている。
この心境の変化は、古巣の琉球ゴールデンキングス戦で見た偉大な先輩のプレーに感化されたことに起因する。「ケガをしていて外から試合を見ていた時に印象に残っていたのは、キングス戦での(岸本)隆一さんのプレーでした。ジャック・クーリーやヴィック・ローがいても、ここ一番でボールを持ってシュートを打っていたのは隆一さんで、2、3本外していても、最後の勝負どころでシュートを打ち切って決めていました。ああいう姿を見て、自分にはチームを勝たせるメンタリティが足りていないと思いました。ただチームバスケをしようではなく、時には自分のエゴが結果に繋がると感じています」
牧は福岡大学附属大濠、筑波大、プロ最初のチームは琉球と、常にそのカテゴリーで屈指の強豪チームに所属してきた。勝利の土台が出来上がっていたチームに入り、持ち前の高いバスケットボールIQですぐに順応し、チームの勝利に貢献してきた。だが、大阪はBリーグでまだ確固たる実績はなく、新たな勝利のカルチャーを作っている段階のチームだ。それ故の難しさはあるが、同時に牧はやりがいを強く感じている。
「大濠、筑波大にキングスと、土台や伝統があります。自分はそこに乗っかっていくだけ、大企業に入って働くみたいな感覚でした。一方で語弊があるかもしれないですが、大阪は新たに土台を作っていく段階で、自分が加入した時にヘッドコーチが変わり、選手も入れ替わったタイミングで、ベンチャー企業みたいな感覚でやれている楽しさがあります。もちろん厳しさ、難しさも感じますが、先ほども言ったようにルール的にも言い訳はできないです。この2年間積み重ねてきたものを、結果として出さないといけないです」
サラリーキャップの導入で、上位陣との戦力差は縮まっている。大阪がチャンピオンシップ戦線に絡んでいくには、この2シーズンに渡り藤田弘輝ヘッドコーチの下で積み上げてきたベースに加えて、新たなプラス材料も必要だ。大阪を進化させるXファクターとして、ここ一番で得点を狙う牧の姿勢に期待したい。
