八村塁と西田優大、エースが感じたワールドカップ初戦「体力が消耗する中で、ディフェンスを40分間続けられるかがカギ」

2017/07/02
日本代表
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文・写真=小永吉陽子

スペインに健闘も、詰めの甘さに反省の弁が出た八村塁

「第4クォーターにフリースローをかなり落として、本当にバカなことをしたので、そういうところをしっかりやっていかないといけない」

八村塁の口から「バカなことをした」という言葉を聞いたのは初めてのこと。それだけ、スペイン戦での敗戦にエースとしての責任を感じていた。

スペインは言うまでもなく、フル代表ではFIBAランキング2位の『超強豪国』だが、今回のU-19スペイン代表はヨーロッパ5位での出場。一枚上手であることは間違いないが、全く歯が立たない相手ではなく、日本は金星を奪い取る意気込みで戦いに挑んでいた。そのゲームプラン通り、日本は第4クォーター終盤まで食らいついたが、最後に突き放されてしまい、11点差で勝ち星を逃す結果となった。

八村自身のことでいえば、20得点10リバウンドと両チームを通じて一番目立った活躍をするも、前半は16点だった得点が後半は4点と伸びなかった。そして敗因の一つであるフリースローは8本中3本という確率の悪さで、第4クォーターには4本連続で落としている。八村が4本連続で落とすことなど、これまで見たことがない。

それでも落としてしまったのは、シュートが短くなっていたことから見ても、明らかに疲労が原因。インサイドを守り続け、リバウンドに跳び続けたエースは誰よりもスタミナを消耗していた。しかし「それは言い訳」だとばかりに、大事なところで決めきれなかったエースからは反省の弁が出たのだ。

国際大会においてスタミナとの戦いになるのは日本の宿命である。どこのポジションでもミスマッチになる日本は、ローテーションとダブルチームの運動量でカバーし合うだけに、どの国よりも体力の消耗が激しい。加えて初戦では、スペインがディフェンスのマークマンをほとんどスイッチする作戦に出ており、こうした国内では味わえない様々なディフェンスにもすぐに対応しなければならない。日本はこの対応に遅れて細かいミスを重ねてしまい、詰めの甘さを露呈してしまったのだ。

『世界相手にできる』と仲間に勇気を与えたエース

とはいえ、スペイン相手にここまで競ることができたのも八村の得点があったからこそ。序盤で大きく引き離されず、ついていけば勝機があることが確実な手応えとして残った。八村は言う。

「今までの日本や、U-17世界選手権の時は『世界が相手だから』というイメージで戦えなかった。けれど『そういうのは今の日本にはない』『日本だって最初から思い切りやればできる』とチームメートに話して試合に入りました。明日のマリ戦も、絶対に勝つために最初から思い切り行って、最後まで気を引き締めたい」

大会前に抱負を聞かれた八村は「日本が世界でもやれることを見せたいし、自分はチームを引っ張って、世界の人たちに日本に自分がいることを知らせたい」と決意を語っていた。実際にエースとしてコートに立ち、悔しい敗戦を味わった今、エースとしての自覚はさらに強くなっていた。

ロイブルバスケの申し子、西田優大のシュートが戻ってきた

18年ぶりとなるワールドカップの幕開けは西田優大の3ポイントシュートからだった。スペイン戦では14点4アシストと八村に次ぐ得点を叩き出した。

「自分はドイツ遠征までシュートタッチが良くなかったのですが、今日はファーストシュートが入ったので調子が戻ってきたと実感したし、この大会で自分の力が出せるという手応えがあります」と西田は感想を語ったが、大会直前に行ったドイツ遠征で全く当たっていなかったシューター陣の中で西田が戻ってきたことは心強い限りだ。

西田は2015年にトーステン・ロイブルがアンダーカテゴリーのヘッドコーチに就任した時からの中心選手。U-16、U-18、U-19代表として、3年連続ロイブルの下で国際大会に出場している、言わば『ロイブルバスケの申し子』だ。

サウスポーから放たれる3ポイントが武器だが、ディフェンスの状況を見てドライブもでき、ボールをキープしてゲームをコントロールする力もある。八村がオールラウンドにフル回転する大黒柱であれば、西田はロイブルバスケを熟知するアウトサイドのエースだ。

その西田も八村同様、スペイン戦では相当の疲労があったという。得点面で打開できていただけに、もっとコートに立っている時間が長くてもいいと感じた西田のプレータイムは27分。これはロイブルHCが体力面を考慮してペース配分したものだ。やはり、カギとなるのはディフェンス。激しい運動量で勝負をするために、いかにスタミナが終盤までもつか、なのだ。西田は日本のディフェンスについてこう語る。

「自分のポジションは2メートルの選手に守られてミスマッチになるし、インサイドもミスマッチ。自分のところもカバーしてもらわないといけないけれど、自分もチームメートをカバーするのが約束事。ボックスアウトは絶対にサボれないし、日本はオールコートのゾーンプレスもやるので、体力の消耗が本当に激しいです。でもそれがロイブルコーチのバスケットだし、国際大会ではそれを40分間やらなければ勝てない。次のマリ戦に勝つのはマスト。スペイン戦以上のディフェンスで頑張ります」

フル代表を見ても分かる通り、これまでの日本は海外チームとのフィジカルコンタクトに慣れないことで尻込みしてしまい、初戦に弱く、試合の入り方も課題だった。だが、このチームはそうではない。初戦から戦闘態勢で挑めることが今までとは明らかに違う。

日本が勝利するには、八村と西田の得点を軸に序盤から離されないことであり、ディフェンスはさらに強度をあげて全員で激しく40分間戦うことがカギとなる。予選ラウンド2戦目、日本は八村と西田の両エースを軸に、最大のターゲットにしているマリと戦う。