ロニー・ウォーカー四世

セカンドエプロンの綱渡りが呼び込んだ『保険』の一手

ナゲッツはロニー・ウォーカー四世とベテラン最低保証額となる330万ドル(約5億円)での1年契約に合意した。ティム・ハーダウェイJr.がヒートへ去り、ペイトン・ワトソンの去就がいまだ決まらない中、バックコートの選手層を補う一手となる。

2018年のNBAドラフトでスパーズから全体18位指名を受けたウォーカーは、4年目の2021-22シーズンに70試合に出場して12.1得点を記録するも、再建へと舵を切るスパーズの構想から外れた。フリーエージェントになった時点で23歳と市場価値は高いはずだったが、スタッツは残していても安定感を欠き、戦術理解が指揮官グレッグ・ポポビッチの求めるレベルに届かなかったことでジャーニーマンとしてのキャリアを余儀なくされた。

レイカーズとネッツを経て、2024年にはセルティックスにトレーニングキャンプ契約で加わるも、すぐに解雇される屈辱を味わう。2024-25シーズンにはセブンティシクサーズで20試合に出場するも、定着には至らなかった。

昨シーズンはマッカビ・テルアビブのリーグ優勝に貢献。それでもNBA復帰を目指す彼は、NBAチームからのオファーが来れば契約を解除できる条項を盛り込んでおり、これを利用してナゲッツのオファーに応えた。

今夏のナゲッツは、サンダーが提示したスペンサー・ジョーンズへのオファーシートにマッチしたことで、リーグ唯一のセカンドエプロン超過チームとなっている。ラグジュアリータックスは記録的な額になり、さらにこのまま新シーズンを終えると、来年オフには2034年の1巡目指名権が『凍結』されてトレードに使えなくなる。ニコラ・ヨキッチが全盛期のうちに次の優勝を狙うナゲッツにとって、将来の1巡目指名権は補強に使える最大の資産であり、『凍結』されるわけにはいかない。超高額のタックスを支払う合理性はなく、ナゲッツは何らかの方法でセカンドエプロン超過から脱却する必要がある。

ワトソンをサイン&トレードで放出するか、彼と高額契約を結ぶ代わりに誰かを放出するか。ヨキッチ以外は『アンタッチャブル』ではないにせよ、オフの終盤になってジャマール・マレーやアーロン・ゴードンを良い形で放出するのは簡単ではない。中堅以下の選手を放出するなら、サラリーを引き受けてもらう代わりに指名権を差し出す必要がある。

どの方向に進んでもロスターの穴を埋められるよう、ウォーカー四世やマービン・バグリー三世といった『格安の保険』を積み増しながら、ナゲッツは綱渡りの編成を進めている。