ジェイレン・デューレン

リムプロテクトとプレーメークでの成長が求められる

ヤニス・アデトクンボに始まり、ラメロ・ボールやジェイレン・ブラウンといったエース格が予想外にトレードされ、レブロン・ジェームズがセブンティシクサーズを新天地に選ぶ激動のオフとなっています。その一方でフリーエージェントは渋い契約ばかりで、現行ルールでのチーム作りの難しさが浮き彫りになっています。

そんな中、オールスターに選出されたジェイレン・デューレンは、ピストンズとの契約延長交渉が暗礁に乗り上げています。デューレンは5年2億8700万ドル(約430億円)での延長を望んでいるとされますが、この額を提示できるのは所属チームのピストンズだけ。しかし、ピストンズの提示額は1億ドル近く低いと見られており、両者の隔たりは埋めがたいものがあります。

4年目の昨シーズン、オールスターとオールNBAサードチームに選出された22歳のセンターは、フリーエージェント解禁直後であればピストンズ以上の提示をするチームもあったはずです。しかし、今は多くのチームでロスターがほぼ固まり、キャップスペースに余裕があるチームはごく一部に限られています。しかも、ピストンズは早い段階でサイン&トレードに応じない姿勢を示しており、現状ではデューレンが無理な要求をしている形でしかありません。

デューレンには960万ドル(約14億円)のクオリファイングオファーを選び、来オフにピストンズ以外からの契約提示を待つ手段が残されていますが、来年オフもフリーエージェント市場が冷え込む状況は変わらないと予想され、ゴール下で強力であってもプレーメイク力に欠けるセンターにマックス契約を提示するチームが現れるとは思えません。

デューレンが望む契約を手に入れるにはさらなる飛躍が必要で、それはピストンズにとっても重要です。ハードなディフェンスからのカウンターアタックはチーム全体の特徴ですが、ハーフコートになればケイド・カニングハム頼みになっており、トバイアス・ハリスが移籍したこともあり、デューレンとアサー・トンプソンにはプレーメークも望まれるようになります。

特に今オフはシューターを増やしており、パスアウトで3ポイントシュートに繋げるだけでなく、ハンドオフやオフボールスクリーンを活用したオフェンスパターンを取り入れやすくなっています。デューレンはセンターとしてはハンドリングスキルは高いため、ディフェンスを惑わすコンビプレーを覚えれば、自身の得点力も向上する余地があります。

また、ディフェンス面でもフィジカルとリバウンドの強さに反し、ブロックは0.8とリムプロテクターとしては物足りなさが残り、チームトップのブロックを記録していたアイザイア・スチュワートが放出されたこともあり、ゴール下でさらなる存在感を発揮する必要があります。

ピストンズの提示額はオールスタークラスのセンターとして不当に低いものではありません。デューレンが自身にマックスレベルの価値があると主張するのであれば、ニコラ・ヨキッチのようにオールラウンドなプレーでチームを牽引するか、ビクター・ウェンバニャマのように圧倒的なスタッツでゴール下を支配しなければいけません。妥協して契約を結ぶにしろ、意地でもマックス契約を求めるにしろ、より大きな活躍が求められています。