ジェレミー・ソーハン

ブレイザーズの新たな2ガードの弱点を『隠す』役割

ジェレミー・ソーハンがトレイルブレイザーズとの1年契約に合意した。契約は非保証で、キャンプでの活躍次第でロースター入りが決まる立場でのスタートとなる。

ソーハンは2022年のドラフトでベイラー大からスパーズに全体9位指名され、ルーキーイヤーからいきなり主力に抜擢された逸材だ。しかしビクター・ウェンバニャマを中心にスパーズの戦力が整っていくにつれ、彼の出番は徐々に減っていった。今年の2月にトレード交渉がまとまらず、スパーズとのバイアウトが成立している。

その翌日にニックス入りが決まったが、すでに完成の域にあったニックスのバスケにソーハンの入り込む余地はなく、出場機会はさらに減った。6.9分となったプレータイムはプレーオフになって3.3分とさらに減り、ほとんどコートに立つことのないままソーハンは優勝メンバーの一人となった。

出場時間はわずかでも、彼の存在価値は別のところにあった。NBAファイナルの相手は古巣スパーズ。ソーハンは「出場するかどうかにかかわらず、自分が持っている情報を伝える。僕はかなり多くのことを知っている」と語り、ベンチからでも「誰にいつボールを集めるか」といった相手の傾向を伝えたという。ウェンバニャマの攻略法についても「様々な守り方を見せて、とにかくフィジカルに当たって疲れさせることだ」と具体的な助言を残している。

実際にファイナルで起きたことは、この助言と奇妙なほど重なる。ニックスは4勝1敗で優勝を果たしたが、その4勝すべてが2桁差をひっくり返しての逆転劇だった。象徴的だったのが第4戦だ。29点をリードしていたスパーズが大逆転負けを喫した『崩壊』で、ウェンバニャマは延長なしの試合ながらプレーオフ最長の44分に出場。第4クォーターにガス欠に陥った。

第5戦でも終盤に失速し、そのままシリーズを終えた。ソーハンの助言通りに事が運んだと断言はできないが、『消耗させる』というプランを立て、それを徹底的に遂行したことがファイナルの勝敗を分けた構図と重なるのは興味深い。

ニックスでの貢献はアドバイスに留まったが、ブレイザーズではこうしたディフェンスとリバウンドをコートに出て遂行することが求められる。とはいえ、彼の立場は安泰とは言い難い。フォワードはデニ・アブディヤとトゥマニ・カマラが絶対的な先発で、ベテランのジェレミー・グラントでさえこの2人に押し出されてシックスマンに回っている。

ジャ・モラントとデイミアン・リラードが2ガードとして先発すれば、ディフェンスとリバウンドに特化した選手が彼らの弱点を『隠す』必要がある。ソーハンへの期待はまさにその部分で、まだ23歳という伸びしろへの投資でもあるが、非保証契約という形が示す通り、まずはトレーニングキャンプでチームへの適性を証明する必要がある。