吉本AC「組織的なシステムは同じにしていきたい」
『アジア競技大会』に向け、男子日本代表が始動した。そして、桶谷大ヘッドコーチは一つの決断を明かした。
「今回僕がヘッドコーチなんですけど、基本的にダイス(吉本泰輔アシスタントコーチ)が指揮を執ります」
練習も基本的に吉本ACに任せ、自身はサポート役に回る。そして「違った角度からチームを見たい」という理由から、試合でもベンチからチームを見つめる立場を選んだ。「ベンチに座っているのとベンチで立ちながら試合を見るのは全然違うと思います。ベンチのライン際で見ていると広く見れない部分はあって、ベンチからの方が細かい部分は言いやすいですし、落ち着いて試合も見れます」
このチームは若手中心で構成されているが、決してA代表の『Bチーム』ではない。桶谷HCは日本代表全体の強化を進めるための競争の場として位置づけ「A代表に入ってくるレベルの選手が多い」と評価する。そして、国際強化試合の佐賀大会やアジア競技大会は、その実力を証明する機会だと考えている。
「彼らが本当に今ハングリーなんですよね、A代表に対して。どういう風にして彼らが入ってくるかというのを注目してほしいです。そしてこれは育成ではないということ。本当に強化の部分だと思っています」
目的は経験を積ませることではなく、アジア競技大会で勝つこと。そしてA代表を脅かす存在を生み出すことにある。実際、桶谷HCは佐賀大会のパフォーマンス次第でWindow4の招集も「十分あります」と明言している。だからこそ、Window3の韓国戦で露呈した課題も、このチームで改善したいと考えている。
「ライブターンオーバーが増えて、ターンオーバーで20点ぐらい取られたり、セカンドチャンスでも失点した。不必要な点数が30点以上あったっていうところは、全体的な日本の課題だと思っています」
その課題を修正しながら、A代表と同じコンセプトで戦う。その指揮を任された吉本ACも、日本代表の強化を個別のチームではなく組織としてとらえている。「もちろん選手によって変えるところはいろいろあるとは思いますけど、トップから全部同じようなシステムで。組織的なシステムは同じにしていきたいです」
現在の日本はA代表、ディベロップメント、そしてアジア競技大会まで、一貫したシステムの中で選手を育て、競争させる方針を取っている。その中で重要なのは、選手一人ひとりを理解することだと吉本ACは言う。「今いる選手をとにかく理解して、彼らの能力を個人としてもチームとしてもマキシマイズできるようなチームを作っていけたらなと思っています」
戦術を押し付けるのではなく、選手の特徴を理解した上で能力を最大化する。だからこそ、吉本アシスタントコーチは「とにかくアグレッシブに、アクティブに、競争できる集団」作りを目指していく。その競争は、代表経験者が合流することでさらに加速する。昨日の合宿では、一緒にプレーしたわけではないが、河村勇輝や馬場雄大がワークアウトを行っていた。吉本ACは「彼らが来ることによって若い選手の意識が上がる。そこで良いコンペティションが生まれる」と力強く語った。
桶谷HCは吉本ACについて「パッションが素晴らしい」と評価したが、吉本ACはその自身のパッションの原点についてこう語った。「コンペティション(競争)で勝ちたいというのがあるじゃないですか。勝てるチームを作りたいですし、それが日本全体に貢献することに繋がると思います。そしてカルチャーを作っていくには、やっぱり勝つことを目的にしていかないと作っていけません」
このアジア競技大会は、若手の挑戦の場であると同時に、日本代表の未来を測る競争の舞台でもある。
