NBA

「選手を中心に据え、その声を反映させるべきだ」

NBA選手会(NBPA)では、アンドレ・イグダーラに代わる事務局長にデビッド・ケリーが就任した。ウォリアーズの経営に長らく携わったケリーは、昨年2月に法律顧問と専務理事を兼任する形でNBPAに加わると、その1年後に実務のトップである事務局長に選出された。

サマーリーグが行われているラスベガスで、NBPAの執行部による会見が開かれた。ケリー事務局長のお披露目会見ではあるが、そこで主に語られたのは今の労使協定によるエプロン制度が、バスケに不利益をもたらしているという厳しい内容だった。

NBAではサラリーキャップについて、ラグジュアリータックスを支払えば超過できるソフトキャップが採用されているが、罰金を苦にしない経済力を持つチームが現れ始めたことで、実質的なハードキャップへの移行としてエプロン制度が導入された。2023年から、ファーストエプロンとセカンドエプロンという2つの値が設定され、サラリー総額がこの金額を超えると、金銭的なペナルティであるラグジュアリータックスだけでなく、実質的にロスター構築に不利となるペナルティが科される。トレードの制限、例外条項の没収、セカンドエプロンを何度も超えると1巡目指名権をトレードできなくなり、最悪の場合は指名順位が強制的に最下位に落とされる。

当初は機能していたかに見えたエプロン制度は、実施からの数年で歪みが出てきた。NBPA会長のフレッド・バンブリートは「セカンドエプロンは、クラブ側が『セカンドエプロンがあるから動けない』と言い訳するための道具だ」と語る。

ケリー事務局長は、より辛辣な言葉でエプロン制度を導入したリーグと各クラブのオーナーたちを批判した。「エプロン導入は、戦力均衡のためだとされているが、2023年より前の5年間もそれぞれ異なるチームが優勝していた。エプロン制度の目的は『コスト抑制』だよ。そして今、選手は自分がどこでプレーするのかを決められず、セカンドエプロンのせいでチームは解体を余儀なくされている。ボストンで何が起きているか。ジェイレン・ブラウンとジェイソン・テイタムは一緒にプレーできることをコート上で示したのに、エプロン制度のせいで2人を一緒に留めておけない。一部のオーナーのコスト抑制のために、選手やファンが傷付いている。これはルールの欠陥だよ」

ケリー事務局長はこう続ける。「エプロン制度はNBPAから提案したものではないが、当初から問題があると見て反対してきた。もっと強く反対すべきだったが、そこまでの関与ができなかったのはNBPAとしての反省点だ。選手年俸が上がり、リーグの経営状況も好調と言われるが、セルティックスのファンは今の状況が正しいとは思わないだろう。ニックスのファンも同様だ」

NBAコミッショナーのアダム・シルバーに対しても、批判めいた言及があった。「彼はオーナーの利益を優先して、オーナーの最善のために働いている。しかし、NBAを動かしているのは選手なんだ。選手を中心に据え、何かを決める際にはその声を反映させるべきだ」

労使協定による現在のルールは2030年まで有効で、2029年に破棄の権利があるが、NBPA側はそこまで待つつもりはない。「リーグが対処すべきと感じれば、タンキング問題でロッタリーの仕組みを変えたように、変えることはできる。我々はそう働きかけていく」

先日、ビクター・ウェンバニャマは本来受け取るべき金額から大幅に譲歩してスパーズとの契約を延長した。強いチームを維持するための自己犠牲であり、スパーズへの忠誠心を示す行為だが、これはNBPAからすれば『制度の歪みを受け入れる行為』で歓迎できないものだ。「選手は自分ではない誰かの財政状況を気にするべきではない」とケリー事務局長は言った。「ルールが選手にそのような負担を強いている。勝ちたいなら安い年俸を受け入れろ、というルールに問題がある」

実務のトップである事務局長に対し、選手を代表する選手会長のバンブリートは、「ケリーの言う通りだ。僕たちはレベルの高いバスケをプレーするのが仕事だ。努力してオールNBAなどの基準を達成し、スーパーマックス契約の権利を手に入れた結果、フロントから『強いチームを維持するのに君は不要だ』と言われてしまう。選手がバスケに打ち込み、血と汗と涙を流した結果、チームがバラバラになるルールはおかしい」

NBPA選手会は『嫌儲』の団体ではない。むしろリーグも各クラブのオーナーも、バスケットボールというエンタテインメントで豊かになることを願い、その中で自分たちの権利を主張しようとしている。エプロン制度がオーナーたちを儲けさせるために作られた、という文脈で、ケリー事務局長は鋭い指摘をしている。

「放映権料を30チームに平等ではなく、順位に応じて傾斜をつけて分配したらいい。選手がコート上で競争するように、クラブ間でも競争があるべきだろう。選手への支払いを渋る一方で収益を高める努力もせず、放映権料頼みのチームがある。それこそ、適切な分配を妨げている問題だ」