
ピストンズの頭に残る「プレーオフのデューレン」
ピストンズのジェイレン・デューレンの去就問題が、フリーエージェント解禁となる現地6月30日から一気に動き出す。
デューレンは4年目のシーズン、ピストンズの先発センターとしてレギュラーシーズン70試合に出場して19.5得点、10.5リバウンドを記録した。ピストンズを60勝22敗で東カンファレンスのトップシードへと押し上げ、NBAオールスターとオールNBAサードチームに選出される飛躍のシーズンを過ごした。
しかし、プレーオフでキャバリアーズとの『GAME7』の末に敗退したことで、彼の評価はブレ始めた。マジックとのファーストラウンドでは10.6得点、9.4リバウンド、キャバリアーズとのセカンドラウンドでは9.9得点、7.6リバウンドとスタッツが急落。レギュラーシーズンを通して6回しかなかった1桁得点をプレーオフの14試合で6回記録と、『プレーオフで活躍できない選手』のレッテルを貼られたのだ。
デューレンはシーズンを通して3ポイントシュートを1本も打っておらず、ミドルレンジのシュートもない。休むことなく試合と移動が続くレギュラーシーズンならまだしも、相手への対策を徹底的に行うプレーオフでは、デューレンの攻め手の少なさは徹底的に狙われた。デューレンの外を捨てた分、エースのケイド・カニングハムなど他のヘルプが厚くなり、オフェンス全体が機能不全に陥った。それでもデューレンがゴール下を一人で強引にこじ開けるのであれば、相手はヘルプを送らざるを得ないのだが、彼は相手の対策に積極性を失ってしまい、レギュラーシーズンとは別人のように精彩を欠いた。
デューレンはルーキー契約最終年を迎えており、最大5年2億8710万ドル(約430億円)のスーパーマックス契約を得る資格を持つが、ピストンズのオファーはそれよりはるかに低く、これにデューレンは落胆しているという。今回のプレーオフこそ不振に終わったが、2022年の1巡目13位指名で加入してから4年、再建中のチームを強豪へと引き上げた自負があり、低評価に納得できないのも無理はない。
Ausar → Duren = Dawg Pound Activities pic.twitter.com/AiOgshfnUD
— Detroit Pistons (@DetroitPistons) April 7, 2026
昨年オフの時点で、両者には評価に隔たりがあった。デューレンは5年1億5000万ドル(約230億円)を求めたのに対し、ピストンズは彼の将来性を買いながらも、今のトレンドに合わない古典的なセンターを評価しきれず、契約問題を棚上げにした。そして今シーズン、デューレンはオールNBAに選ばれたことでスーパーマックス契約の権利を手に入れ、問題は余計に複雑になった。
デューレンは制限付きフリーエージェントで、他のクラブから高額オファーがあっても、ピストンズはその条件にマッチすれば彼を引き留めることが可能だ。しかし、それは今後に遺恨を残すため、条件が折り合わないままフリーエージェント市場解禁となれば、彼の望むチームにサイン&トレードの形で放出する選択肢が出てくる。
すでにレイカーズとキングスの2チームが、デューレン獲得に本腰を入れていると噂される。レイカーズはディアンドレ・エイトンより強力な先発センターを手に入れたい。エースのルカ・ドンチッチがアリウープのフィニッシャーとなれる大型センターを好むため、デューレンの弱点を気にしないのが強みだ。キングスは再建チームで、ドマンタス・サボニスをトレード要員として出せる。22歳のデューレンを軸に再建を進めることは、キングスにとっては理想的なシナリオだ。
もっとも、ピストンズにとってデューレンは生え抜きのスター選手であり、どんな形であれ彼を失うことは『失策』でしかない。彼がフロントの姿勢に失望したまま新シーズンを戦うのも問題なため、フリーエージェント市場が開く直前に両者の妥協点となる契約条件で残留を決めるのが妥当な落としどころだろう。それでもフリーエージェント市場では予期せぬことが起こるもの。それが分かっているからこそ、レイカーズもキングスも可能性を追い求めていく。
デューレンのプレースタイルは3ポイントシュート主体のスピーディーな展開という今のバスケに合わないが、ビクター・ウェンバニャマがリーグを席捲し始めたことで、大型センター再評価の流れがNBAに来つつあるのも事実だ。結局のところ、デューレンというタレントをどこが一番高く評価するか。その回答は、すぐに出るはずだ。