ジャ・モラント

グリズリーズはかつての『ヤング・コア』全員を放出

グリズリーズがジャ・モラントをトレイルブレイザーズへトレードした。グリズリーズが受け取ったのはジェレミー・グラントとクリス・マレーのみ。オールスター2度選出、かつてのMVP候補に対するリターンとしては、あまりにも寂しい内容だ。

グリズリーズは昨夏のデズモンド・ベイン、シーズン中のジャレン・ジャクソンJr.に続き、2022年に『リーグ最高のヤング・コア』と称された3人全員をチームから送り出したことになる。転機は昨シーズン終盤のテイラー・ジェンキンス解任だった。

これでチームは空中分解となり、プレーオフに進出するもサンダーにスウィープでの敗退を喫した。今シーズンのモラントは後任ヘッドコーチのトゥオマス・イーサロと衝突し、出場わずか20試合に終わっている。圧倒的な1対1の強さを駆使して得点もアシストも自由自在だったエースは、右肩、股関節、左右の膝、左ひじとケガの連続でコンスタントにプレーできないだけでなくコート内外でトラブル続きで、2月のトレードデッドラインではトレード先を見付けられなかった。グリズリーズとしては好条件を引き出せなくても、もはやモラントを抱え続けることはリスクでしかなかった。

ブレイザーズはドリュー・ホリデーとスクート・ヘンダーソンに加え、デイミアン・リラードがアキレス腱断裂から復帰するため、ガードはすでに飽和状態にある。チームの弱点は3ポイントシュートだが、モラントはキャリア平均31.1%と決して得意ではない。なおかつボールを持って力を発揮するタイプで、デニ・アブディヤのアイソレーション中心のオフェンスにどう組み合わせるかも課題となる。

それでも2年8700万ドル(約130億円)と高額契約を残すモラントを受け入れたのは、『ローリスク・ハイリターン』の賭けと見たからだ。グラントは実績あるオールラウンダーだが、残り2年7100万ドル(約110億円)の年俸は実力に見合っておらず、キャリア3年目を終えたマレーは伸び悩み、他の若手の成長に置いていかれつつあった。

モラントはまだ26歳で、時間を掛けてでもチームにフィットし、かつての才能を取り戻せば大きな戦力となる。ホリデーは36歳、リラードは大ケガを経験した35歳で、彼らが衰える時にモラントが復活を遂げていれば儲けもの、そうでなくても契約満了を迎える。そして何より、ブレイザーズとしては指名権を放出することなくこの取引をまとめられたのが大きい。

モラントの視点に立てば、恩師ジェンキンスを新たなヘッドコーチに迎えて再建をスタートさせたばかりのバックスが再起の場としては最適だっただろうが、今の彼はトレード先を選べる立場ではない。自らのキャリアを立て直す意味で、ここで悪い流れを断ち切り、与えられたチャンスを生かすしかない。かつての輝きを取り戻すことができれば、『リラード以後』の時代を引っ張る存在として好条件の契約を得られるだろう。逆にケガが続いたり、素行が改善しないようなことがあれば、今度こそ彼はプレーする場所を失うことになる。