
京都ハンナリーズが推し進める全26市町村ホームタウンでの社会貢献活動。活動をしていく中で、必要になってくる選手の手助け、この部署に求められる人材について社会貢献活動チームの田中裕一に語ってもらった。
社会貢献活動をする上で大切にしている2つのこと
──この部署は何人で動かれているのでしょうか?
今は3.5人ですね。3人が専任で、1人はアカデミーと兼任でやっています。
──メインターゲットにしている年齢層などありますか?
特に年齢や性別でセグメントはしていませんが、大事にしていることが2つあります。まず一つ目が『魅力ある街づくりの手伝いをする』ということです。各地方には、まだ知られていない隠れた名所や名産があるので、僕らが間に入ることで、たくさんの方に知っていただいて、その街が活性化していくことをやりたいと思っています。
もう一つは『子どもたちの健全な育成に貢献する』ことで子どもたちとの接点を増やし、身体を動かす機会や、バスケを知ってもらうことに注力したいと考えています。自治体の祭りに参加したり小学校の登校時間に、はんニャリンが校門の前に立って朝のあいさつ運動といったことを実施しています。自分の学校に、はんニャリンが来てくれたという体験が距離を縮めるきっかけになれば良いと思っています。
──活動をするにあたって参考にしているクラブはありますか?
やはり琉球(ゴールデンキングス)さんと宇都宮(ブレックス)さんですかね。彼らの地道な活動は自分たちの気が緩んだ時に見ると刺激になります(笑)。あとは川崎(ブレイブサンダース)さんや、千葉ジェッツさんは、活動にプラスして見せ方も上手で、参考にさせていただいています。
──このような活動はもちろんフロントスタッフが尽力されている結果だと思いますが、選手の手助けも必要ではないでしょうか?
私が選手に働きかけていることはないのですが、松島(鴻太社長)が選手やチームスタッフにホームタウン活動の重要性を口すっぱく言ってくれています。その中でも古川(孝敏)選手は入団時に「クラブ全体として活動に取り組んでいることに魅力を感じて京都に入りました」とおっしゃってくれたのはうれしかったですし、小川麻斗選手、川嶋勇人選手は率先して携わってくれました。
小川選手は子どもたちや、ひとり親世帯の家族に対する支援を前の所属クラブから続けていて、京都でもバックアップすることを約束して入団していただきました。あの若さでその考えを持っていることに感動しましたし、実際に現場でも積極的にコミュニケーションをとってくれていて本当にすごいと思いました。
地元出身の川島選手はイベントを1回で終わらせるのではなく、その先に繋げていきたいという考えを持っています。クリニックをした後に「この子どもたちがバスケットを続けられる環境を作れないか?」と相談されたこともありますし、京都ならではの野菜を選手が育てることで農業に興味を持ってもらい、減少している農家の担い手を生み出す機会を創出したいといった、一歩先の未来をいつも考えて提案してくれていますね。

「まだまだ道半ばだと思っています」
──この仕事の意義、やりがいに感じるところはどこにありますか?
この活動をしていると「ありがとう」としか言われないんですよ。クレームになることはほとんどありません。世の中のためになることをやらせていただいていることにやりがいを感じています。あとはクラブのウェアで街を歩いているときに「あ、ハンナリーズ!」と言ってくれたり、はんニャリンを見てお声がけいただける機会がこの部署を立ち上げた当初の何十倍にも増えていて『やっていて良かったな』と思わせていただいています。
──2021-22シーズンは平均観客動員数が1230名でしたが、2023-24シーズンには4000名を超えました。この活動が実り始めている結果でしょうか?
マーケティングなど他の部署が頑張ってくれた結果だと思っています。この活動が実を結ぶのは3年後、5年後の話でまだまだ道半ばだと思っています。
──このような活動を求めて学生さんがインターンで来ることもありますか?
社会貢献とかSDGsに興味がある学生が来てくれることは多いですね。私たちも年間400回も活動しているのでインターンの方々の力なくては成り立っていません。彼らがいることで気付かされることもあり、自分たちの周りにある世界が正しいわけではありません。リアルは違ったところにあります。新しいファンを作る、ファンの人たちに愛されるためには自分たちから遠い距離にいる人たちの話を聞かないとダメですし、ハンナリーズは学生の来場者数がまだ少ないので彼らの声を聞くことはとても参考になります。
──この部署ではどのような人材を求めているのでしょうか?
プロスポーツに携われるのはもちろんですが、普段の仕事にプラスして興行の楽しさも学べます。一般企業のCSR(企業の社会的責任)担当よりも柔軟性が高いのも魅力ですね。この活動に答えはなく、過程を作って自分で答えを作っていくことがやりがいの一つでもあるので、そう言ったことに興味がある方におすすめしたいですね。
──最後に読者の方々にメッセージをお願いします。
あまり私たちの仕事について見てもらうところもないのですが(笑)。Bリーグのクラブはどのクラブも社会貢献活動を進めています。地域のために、日本のためにという純粋な気持ちで活動を進めているので、その活動を通じて応援するクラブを誇りに思ってほしいです。活動を見てくれるだけでも良いですし、機会があればクラブが主催するイベントにぜひ参加してみてください。そのクラブが頑張っている姿を体感してくれたらうれしいです。