竹内譲次

NBAプレーヤーの渡邊雄太と八村塁、Bリーグ最強センターのニック・ファジーカスが帰化して加わったことで、バスケットボール日本代表には史上最強クラスの戦力が整った。その中で、篠山竜青は過去に目を向けこう語った。「男子バスケは結果が出ずに苦しい時代が長く続きました。その中で挫けずに代表を支えてきてくれたのが竹内兄弟世代です」。その言葉通り、日本代表を支えた竹内譲次は、今のチームでも不可欠な戦力であり続けている。「選ばれ続けてきただけ」と謙遜する竹内に、日本バスケに風が吹く中でワールドカップを迎える心境を聞いた。

「新しいメンバーが入り、過去以上にチャンスはある」

──篠山選手に取材した際、「竹内兄弟がこれまでの日本を支えてきた」と話していました。日本代表に大きな貢献をしていた、譲次選手自身ではこれをどう受け止めていますか。

お世辞であれ、下の世代の選手がそうやって口に出してくれるのはうれしいです。でも、背負ってきたという意識はあまりないですね。結果を出してきたならまだしも、結果が出なかったので。ただ選ばれ続けてきただけで、大役をこなしてきたわけではないと思っています。

ファンの方からそう言ってくださることもすごくうれしいです。ただ僕個人として、代表活動は海外の選手と試合をして自分自身が成長できるチャンスだとずっと思っています。なので、逆にそういう場所を与えてもらって感謝しています。2006年の世界選手権も出させてもらいましたし、本当に恵まれていると思います。

──ヘッドコーチのフリオ・ラマスは1勝することがどれだけ大変ですごいことなのかを説いていました。これまでのたくさんの経験を通し、竹内選手としてはこのチームのポテンシャルをどのように感じていますか?

日本が成長しているように、相手も成長していると思います。だから、自分の物差しでは測れないところはあって、正直分からないです。ただ、新しいメンバーが入ったことは間違いなくプラスで、もちろん過去以上にチャンスはあると思います。

──そもそも、そのチャンスがあるということ自体がすごいことですよね。

そうですね、ずっと勝てなかったし、期待もされてなかったですから。新しい日本代表がどれだけできるかというチャレンジです。本当に読めない分、どれだけできるんだろうって、そこはすごく楽しみですね。

竹内譲次

「まずはユニフォームを着ることができるように」

──間もなく始まるワールドカップは、竹内選手にとってどういった位置づけになりますか?

キャリアの集大成と言っていいと思います。先を見れない年齢にもなってきていますし、まだメンバーに選ばれたわけではないので。ずっと代表に選ばれるわけではないので、今与えられた場所でいかに頑張るかと考えています。本当に良い競い合いをして、まずはユニフォームを着ることができるように頑張りたいです。

──我々からすると譲次選手は『当確』という認識ですが、競争という意識は強いですか?

競争ですね。塁ぐらいじゃないと、そういう自信は持てないと思いますし、変な慢心は持たないようにしています。

──日本がどこまで通用するか読めないワールドカップで、どこに目標を置きますか。

事実としてヨーロッパのチームに勝っていないので、アメリカを含めて1勝を挙げることです。それをクリアできたらまた次があると思います。1勝という目標が高いか低いかは分からないですが、そういうハードルを設定するよりも、与えられた場所で一生懸命やるだけです。

──今を全力で尽くす先に、結果であったり東京オリンピックがあるわけですね。

そうですね。ワールドカップの後、自分自身がどうなっているのか。東京オリンピックの次のオリンピックの時には38歳なので、もし選ばれたら東京オリンピックが最後になる可能性は高いと思います。でも今回のワールドカップが終わったら「4年後も目指したい」という気持ちが芽生えてくるかもしれません。

今回のワールドカップは締めくくりでもあるし、良い機会にしたいと思います。とにかく全力で目の前のことをこなしていきたいです。