小野寺佑奈

「セカンドガードとしての力不足を痛感しました」

トヨタ自動車アンテロープスはデンソーアイリスとのWリーグファイナル第4戦に51-70で敗れ、準優勝で今シーズンを終えた。

20-2と大差がついた最終クォーターのパフォーマンスが勝敗を分けたが、それまではリードチェンジを繰り返す接戦で、第3クォーター終了時点で1点差とまったくの互角だった。しかし、第3クォーター開始約3分に、ここまで9得点を挙げ、効果的なドライブを連発していた安間志織が負傷離脱した。インサイドの強みを生かしてオフェンスを展開するトヨタ自動車にとって、司令塔の数が減ったことが結果的に勝負の分かれ目になった。

もちろん、セカンドガードの小野寺佑奈は激しいプレッシャーディフェンスに加え、オフェンスでも強気なアタックを見せ、安間の穴を埋めていた。だが、アーリーエントリーでトヨタ自動車に加入し、昨年にローテーション入りした24歳の小野寺の負担は大きかった。

大神雄子ヘッドコーチはこのように語る。「初めてファイナルに立つ選手が多い中、レギュラーシーズンとは違うプレッシャーがあったのかなと。安間がケガをした時に迷わず小野寺(を投入した)。ただ、小野寺が後半に20分出続けるというのは難しかったので、ローテーションで回せるポイントガードがいなくなったのは、最終的に大きかったと感じています」

インカレベスト8など、全国レベルの戦いに身を投じてきた小野寺だが「今までバスケットをやってきた中で、なかなかこういう舞台に立てなかった」というように、優勝を争う試合でプレーするのは初めてだった。だからこそ、悔しさは残りつつもこの経験を得ることができたことへのありがたさも感じている。

「安間選手がケガをしてしまった時に、自分がセカンドガードとしてゲームコントロールできなかったことがすごく悔しいです。オフェンスでもディフェンスでも、もっとできたことがあったんじゃないかっていう悔しい思いが一番あります。でもこのような環境でバスケットができていること、プレーできていることに本当に感謝しています。悔しい気持ちと感謝の気持ちでいっぱいです」

レギュラーシーズンは23勝5敗で1位。プレーオフも順当に勝ち進み、ファイナルの舞台までたどり着いた。優勝は逃したが、若手が多いトヨタ自動車にとって、実のあるシーズンだったと言えるだろう。世界への挑戦を表明している山本麻衣も若手にエールを送る。「2年目でトヨタのバスケットにしっかりフィットしてくれたことが、レギュラーシーズン1位という結果に繋がったと思います。下の子たちには自信を持って前を向いてやっていってほしいです。自分がいない時もみんながカバーして勝った試合もたくさんあるので、自分たちのバスケットを信じて成長していってほしいです」

そして、小野寺は山本の発言を受け、自身のステップアップを誓った。「この結果を含め、セカンドガードとしての力不足を痛感しました。自分に必要なものは何なのか。もっときつい練習をこなして、ポイントガードとしてチームを引っ張る責任を持って、コート上のメンバーを動かせるようになりたい。自分が先頭を切ってスピードのあるオフェンスを展開していける選手になりたいです」

敗戦を経て、こうした選手の決意を聞けることは指揮官冥利に尽きるだろう。大神ヘッドコーチも「小野寺の決意表明が聞けてすごくうれしい」と語り、清々しい顔で彼女への期待を高めた。「彼女の一番良いところはミスが少ないこと。ターンオーバーの少ないガードは、ヘッドコーチとして流れを変える時に強みになります。緩急の付け方も安間とは違うリズムを持っています。彼女は優しいんですよね。『どうぞ、どうぞ』と委ねる面がある。でも今『自分が勝たせられるガードになる』という言葉を聞けて、今シーズンの最後にそれが聞けて一番良かったです」