
「積極性を忘れずに責任感を持ってプレーする」
そのプレースタイルは、まさに『猪突猛進』。川崎ブレイブサンダースの山内ジャヘル琉人は、B1第31節の群馬クレインサンダーズ戦で、何度も積極的なドライブを仕掛けてチームに勢いをもたらした。
テクニックを駆使したドライブではなく、持ち前のフィジカルとスピードを前面に押し出すアグレッシブなドライブ。フィニッシュに至らなくても、チームのオフェンスに良いフローを生み出していたのは間違いない。
試合後、山内は自身のプレーをこう振り返る。「アタックが自分の武器なので、それを脅威と思わせるために、どんどん仕掛け続けました。その中で良い判断をすることが今後の課題。でも、今はまずアタックし切ることを意識しています。もしうまくいかなくても今後の経験になっていくので、やりながら成長です」
その言葉通り、山内はボールを持てば常にリングを見て、ゴールを狙う姿勢を崩さなかった。チームに他にもフィニッシャーがいる中で、彼らとどうバランスを取ろうとしているのかと問うと、山内は「特にバランスは意識していません」と言った。「行ける時は必ず行く。チームから求められているのは、どんどんアタックしてスコアすることなので、積極性を忘れず、責任感を持ってプレーすることを常に自分に説いている感じですね」
どんな状況になっても、その姿勢は変わらなかった。第2戦の最終クォーターは28点のビハインドでスタート。それでも山内はあきらめず、果敢にリングへ向かった。群馬のエージェー・エドゥに連続でブロックを受けても、なおアタックを継続。その後、ドライブからバスケットカウントを奪うプレーも飛び出し、オフェンスリバウンドから得点も決めた。劣勢の中でもこのクォーターの得点を14-9と上回って一矢報いた。
その積極性の裏には、この試合はロスター外だったベテラン長谷川技からの助言があったと明かす。「シンプルですが、相手のビッグマンの戻りが遅い場面では僕のアタックが効くと。戻る前にリングまで行き切って、そこからプレーを作れば良いと言ってもらい、それを意識しました」

「相手のエースにやられないように意識している」
山内は12月上旬に右膝蓋腱炎が悪化して戦線離脱。1月24日の復帰からしばらくは出場時間が安定しなかったが、直近8試合で先発に定着し、20分前後の出場時間をコンスタントに得ている。
この起用の意図について、山内は勝久ジェフリーヘッドコーチから直接理由を聞いている。「ハセさんのようなディフェンスから仕掛けるプレーを『ジャヘルにもできるから』と言ってもらえました。チームに良い影響を与える存在として期待されているので、それを体現したいです」
オフェンス面での役割は前述の通りだが、ディフェンスにも大きな責任感を持っている。試合開始から、群馬のオフェンスの起点となるトレイ・ジョーンズとのマッチアップを任された。経験豊富なジョーンズ相手との戦いは簡単ではなかったが、それでも、この経験が糧になると語る。
「外国籍のガードやウィングとマッチアップするのは今後も僕の役割になります。まだ課題は多いですが、プレッシャーのかけ方や守り方を学びながら、強度を上げて取り組んでいます」
個々の強度が高まる時間帯も少なからずあった。ただしチームとして40分間継続する胆力が足りなかった。それでもやり続けるしかないと山内は言う。それが川崎のチームフィロソフィーに繋がると強調する。
「自分たちを相手にどう感じさせるかミーティングで共有しています。ディフェンスで脅威を与えて、プレッシャーをかけることで考えさせ、1つでも攻撃をずらし、ミスを誘うというコンセプトを全員が意識しています。特に僕は外国籍選手とマッチアップして、相手のエースにやられないように意識しています」
「今日の試合からもっと考えないといけない」
第1戦は、前半を互角に戦いながらも後半に失速し、77-97で敗戦。第2戦は序盤からリズムに乗り切れずに64-87と連敗を喫した。流れを変えるために必要だったものは何か。
「その場で何が起きているのかコミュニケーションをとって確認して、よくないところは修正する。その時にコートの中で解決する必要があります。タイムアウトを取る前にコートの中で解決することが重要なので、喋る回数をもっと増やしていかないとです」
連敗の中にも、得るものはあった。「群馬さんのようなチャンピオンシップ争いをするチームと戦えたのは、すごく良い経験でした。自分たちが強いチームになるにはどうすれば良いのか、今日の試合からもっと考えないといけません」
「もちろんチームとしての精度は重要ですが、やはり一人ひとりの強度と精度はチームの連動に繋がってきます。試合の中での状況判断やコミュニケーションは、その日の内に改善して、練習から意識しつつ、試合でも大事にしないといけないと思います」
このような意識の変化が、チームを前に進めるために不可欠なことだと山内は考えている。「流れが悪くなった時に断ち切れない弱さもまだあります。もっと力を身につけないといけない。簡単なことではないですが、それをやり切る気持ちを全員が持たなければいけないです。それが責任だと思います」
川崎は今節を終えて、14勝38敗の東地区12位。昨シーズンの18勝を上回るには、残り8試合で5割以上が求められる。同じ関東とはいえ、決して近くはない群馬まで多くのファンが駆けつけ、点差が離れようとも最後まで声援を送っていた。その応援に応えるためにも山内は最後までファイトすると誓う。
「遠くから駆けつけてもらい本当にありがたいです。残り8試合、1試合1試合しっかりと成長する姿を見せられるように頑張りますので、一緒に戦ってほしいです」
期待のルーキーは、ただ経験を重ねるだけでは終わらない。自ら仕掛け、壁にぶつかり、成長をつかみにいっている。その貪欲な姿勢がチームの停滞を打ち破る力になるはずだ。
