ビクター・ウェンバニャマ

「激しさではここ数年のトップ5に入る試合だった」

スパーズは東カンファレンス首位のピストンズを114-103で撃破。これで9連勝と快進撃を続けている。

両チームとも数年前の再建期を脱し、現在は東西カンファレンスの上位に立つ。ピストンズはケイド・カニングハム、スパーズはビクター・ウェンバニャマと若きMVP候補を擁し、疲労が溜まるシーズン中盤にもペースを落としていない。

それでも今回の対戦はスパーズの完勝に終わった。前半こそ拮抗したが、第3クォーター途中にスパーズが抜け出すとピストンズはついていけず。第4クォーターはほとんどの時間帯でスパーズが2桁のリードを守った。

ピストンズはもともとシュート力で勝負するチームではないとはいえ、とにかくシュートが決まらなかった。3ポイントシュートが19%と低調では、得意のロースコアの展開に持ち込んでも勝てない。「チームも僕自身もリズムをつかめなかった。ペイントエリアでも3ポイントシュートも、いつもの調子ではなかった」とカニングハムは語る。

カニングハムはフィールドゴール26本中5本成功の16得点と低調。ウェンバニャマもフィールドゴール16本中6本成功の21得点で絶好調とは言えなかったが、17リバウンドで相手にセカンドチャンスを与えず、6ブロックも記録した。試合後のウェンバニャマは「劇的に何かを得られた試合ではなかったけど、自分たちの成長をあらためて確認できた」と語る。

「シュートはあまり決まらなかったけど、ピストンズ相手にそう簡単に点は取れない。だからこそ僕らは攻守にチームで連動した。特に後半は全員がお互いにチャンスを作り出した。相手のディフェンスに苦しみながらも、ボールをシェアすることで得点を奪った。それができたのは僕たちにとって大きな成長だ」

再建期を脱するチームは、若いエネルギーを前面に押し出すディフェンスのチームとして復活することが多い。ピストンズやマジック、ロケッツはまさにその例で、今シーズンはサンズがそれに続こうとしている。

しかし、スパーズは別のアプローチで古豪復活を果たした。粘り強く戦うことはできるが荒っぽいイメージはない。その点、攻守にプレー強度がとにかく高く、たびたび乱闘騒ぎを起こすピストンズとは対照的だ。

それでも、ピストンズに勝つにはラフファイトもねじ伏せる闘志が必要だ。この試合、お互いにフィジカルなプレーが多く、得点が伸び悩んだという意味では、ピストンズの得意な展開だった。「激しさではここ数年のトップ5に入る試合だった。ピストンズはああいうフィジカルなプレーを高いレベルで遂行するチームだ」とウェンバニャマは言い、それを上回ったことが自信を高めると語った。

ヘッドコーチのミッチ・ジョンソンは、ラフプレーに近いレベルの激しい攻防の中でも集中力を維持した選手たちの精神力を称えた。「相手が我々をスカウティングして、フィジカルに戦って自分たちのペースに持ち込もうと考えるのは当然のこと。我々はそこから逃げず、自分たちなりのフィジカルで対抗しようとしている。それは一般的な筋力勝負ではなく、運動量やペースを生かし、次のプレーを読んで対応するやり方だ。ロープ際で足を止めて打ち合うことはしない。足を使ってリングを動き回り、ジャブを使うタイプのボクサーのような戦い方をしたい」

圧倒的な高さとウイングスパン、そして柔らかな技術を持つウェンバニャマは、しばしば相手の意図的なラフプレーの餌食となる。今回も試合序盤から何度も激しい接触でコートに倒されたが、何度倒されても起き上がり、戦うのをやめなかった。

9連勝は2018-19シーズン以来のこと。2月に入って勝ち続ける間に、西カンファレンス首位のサンダーはペースを落とし、2位で並んでいたナゲッツは失速した。NBA3年目のシーズン、スパーズとウェンバニャマは優勝を目指して戦う位置にいる。

ウェンバニャマは言う。「シーズン序盤に上手くいかなかったことを修正してきた。それが今の好調に繋がっていると思う。でも、これからもまだまだ証明し続けるつもりだ」