ベネティクト・マサリン

チームハイの38得点を挙げてナゲッツ撃破の立役者に

ベネティクト・マサリンはペイサーズからクリッパーズにトレードされたことで、眠っていたポテンシャルを爆発させている。2022年のNBAドラフト1巡目6位指名でペイサーズに加入し、4年目を迎えていたマサリンだが、ペイサーズのペース&スペースのスタイルに噛み合わなかった。

彼はあくまでボールを持っての1対1で強みを発揮する選手。ペイサーズを率いるリック・カーライルはその才能を愛しながらも、速いペースで仕掛け、ボールを動かし、3ポイントシュートで勝負するペイサーズのバスケに、マサリンの1対1を組み込むことができなかった。ハイテンポなバスケが封じられた時、主力がプレーできない時など、マサリンの手にボールが預けられる機会はたびたびあり、そのたびに結果を残してきたが、すでに完成の域に達していたペイサーズのバスケにおいて「マサリンで勝負する」という選択肢はなかった。

そのマサリンが、クリッパーズではチャンスを託されるようになった。トレードが決まって早々に出場した現地2月11日のロケッツ戦では16得点と及第点の出来。オールスターブレイクの1週間を挟んだナゲッツ戦では、34分の出場でフィールドゴール22本中12本、フリースロー13本中12本を決めてチームハイの38得点を記録した。ナゲッツ戦の最後は大接戦となったが、強引に仕掛けるマサリンの得たフリースローがクリッパーズに勝利をもたらした。

オールスターブレイクを前にメディア対応をしたマサリンは、「これまでも自分の持ち味は見せてきたけど、このチームに来たことで今まで以上に自分のプレーを知ってもらうチャンスがある。より自由に、自分らしくプレーできると思っている。そうやって僕自身、次のレベルへとステップアップしたい」と語っていた。その言葉通りのパフォーマンスである。

クリッパーズのヘッドコーチを務めるタロン・ルーは、マサリンの言う自由について「それが具体的に何を指すのか正確には分からないが、私は彼を自由にプレーさせるつもりだ。状況判断から正しいプレーを選択するのが大前提だが、バスケを楽しんでほしい」と語り、こう続ける。「まずは彼が得意とするもの、自信を持っているプレーを見せてほしい。最初から何かを制限したりはしない。そこでやりすぎていれば修正するし、消極的であればもっと思い切ってやるようにアドバイスする」

ナゲッツ戦でのマサリンは、与えられたチャンスに奮起した。今のクリッパーズはオフェンスの中心だったジェームズ・ハーデンが、インサイドの大黒柱だったズバッツが抜け、チームバスケを作り直さなければいけない段階にある。そこでマサリンが自分の持ち味を発揮すれば、チームに勢いを与えられる。

「何かを証明しなければならないとは思っていない」とマサリンは言った。「僕はNBAでプレーできるだけで幸せだ。自分がなりたい選手、チームが勝つために必要とされる選手になるべく、日々学んで成長していくだけだ」