橋本竜馬

昨年夏、橋本竜馬は7シーズン在籍したシーホース三河を離れ、琉球ゴールデンキングスに移籍した。そして、新シーズンを迎えるにあたり、橋本は折茂武彦からの誘いに乗ってレバンガ北海道への移籍を決意した。常勝チームに在籍した橋本にとって、下位のチームを強くする挑戦は初めての経験となる。どのような思いで北海道へと渡ったのか、橋本にその胸中を聞いた。

「折茂さんは小さい頃からのヒーローです」

──レバンガ北海道に移籍して、チーム練習が始まりました。今の気持ちを教えてください。

新しい環境に入って、みんなと顔を合わせてバスケットボールをするということは、自分としても新しい気持ちになります。今回は移籍をするということでいろんな話を聞きながら、6月頭から筋トレをやり始めて、身体を動かしていました。もちろん初めての練習なので身体は多少キツイですけど、それは例年通りですね。

──移籍会見では折茂選手からの誘いが決め手となったと話していました。あらためて、移籍先に北海道を選んだ理由、経緯を教えていただけますか?

本当に熱意のあるオファーをたくさんいただいて悩みましたが、やはり折茂さんが僕に声を掛けてくれて、北海道でやりたいという気持ちが一番大きくなったのが理由です。

一緒に食事に行き、折茂さんは自分自身がバスケットボール選手として「このままではキャリアを終えられない」と何度もおっしゃっていました。その中で「力を貸してほしい」、「北海道を竜馬が引っ張っていってほしい」と言われました。僕はディフェンスのマインドがある選手で、折茂さんは「竜馬がディフェンスをしろって言うんだったら、俺は足を動かすよ」と言って口説いてくれました。ポジティブな言葉をたくさん掛けてもらったんです。

僕の中で折茂さんは小さい頃からのヒーローです。折茂さんが49歳でバスケットボールプレーヤーとしてやっているのは本当にすごいこと。社長としてもそうですが、選手としての折茂さんに誘われるということは、僕のバスケットボール人生にとって大きなことです。僕自身を折茂さんのバスケットボール人生の一部にしたい。自分自身がそう噛み砕いて考えて、北海道を選ばせてもらいました。

橋本竜馬

「少し変わったぐらいではインパクトは残せない」

──北海道には多嶋(朝飛)選手や松島(良豪)選手と良いポイントガードがいて、激しい正ポイントガード争いが繰り広げられることになりそうです。

アイシン時代も柏木(真介)さんがいましたし、沖縄でも(並里)成や(岸本)隆一とやってきました。経験があるのでどっちに転んでも僕自身は大丈夫です。

チームを引っ張って行くという思いもあるので、多嶋や桜井(良太)さん、折茂さんという北海道の歴史を知っている選手たちと一緒に、その歴史を伝えていきながらも新しい文化を作り上げていくことが必要だと僕自身は思っています。彼らのアドバイスも聞きながら良い部分は残して、変えていかなければいけないところは変えていく。新しい風を吹き込みたいです。

──リーダーシップやディフェンスが橋本選手の持ち味だと思いますが、具体的にどういったプレーで『新しい風』を吹き込んでいきたいですか?

リーダーシップは当たり前にやらないといけないことですね。昨シーズンにこのチームが勝てなかったのは絶対に理由があると思っていて、その「何で負けたのか」を一つずつ解決していくための人物が必要だと思っています。自分は勝ってきた経験もありますし、その中で「これは違うんじゃないか」ということをしっかり声に出していけます。

それを試合の中でみんなで共有していかないといけないし、終わった後も改善していかないといけません。曖昧になってはいけないので、そういう時に自分のリーダーシップが必要なのかなと思っています。

少し変わったぐらいではインパクトは残せません。今プレーをしているみんなが何かを変えたいと思っているはずです。その全部を集約すれば劇的に変わることができると思っているので、自分だけじゃなく、みんなとやっていく中で劇的に変わっていきたいです。

橋本竜馬

激戦の東地区での戦いも「大歓迎です」

──北海道を優勝させるために来たと入団会見で話していました。ですが、北海道は昨シーズン10勝50敗のチームです。優勝というのは現実的にはかなり難しいのではないでしょうか?

最初から「1つだけ順位を上げます」と言うんじゃ皆さんも期待しないだろうし、優勝できるイメージが自分になかったらチームは強くなりません。自分自身が思い描くことができなかったら、それは絶対にできないことです。自分にはそれが見えているということです。皆さんは厳しいと思うかもしれませんが、自分は優勝のイメージを持って毎日やっています。

──橋本選手にとっては初めて激戦の東地区を戦うことになります。

厳しいところに身を置くことで自分自身も研ぎ澄まされていくと思っています。難しいシチュエーションの中で何ができるか、何ができないかを精査していきながら、自分自身も向上していかなければいけません。厳しいところに身を置きたいと思っていたので、それは大歓迎です。

──チームとしては東地区を勝ち上がって優勝を狙い、個人としては目標をどこに置きますか?

日本代表に戻りたいです。そこは自分の中でブレていません。今の代表は本当に強くなったと思いますし、自分も入れるところがあるのかなって、いつも探しています。ここでチームとして勝って、自分の価値を上げて、日本代表に戻りたいです。

──最後に北海道のファンの方への思いを聞かせてください。

移籍で沸いてもらうのはうれしいですけど、自分が来たということだけで喜ばれるのはもう終わりです。自分が来た理由を、シーズンを終えた時にファンの皆さんに分かってもらうことが目標です。チームとして高い目標を達成することで、本当に意味があることになってくると思います。それを目標に頑張っていくので、皆さん熱い応援をよろしくお願いします。