田臥勇太

「困難をみんなで乗り越えていこうとポジティブなマインドで」

宇都宮ブレックスは2月7日、長崎ヴェルカとのゲーム2に75-105で敗れ、同一カード連勝を逃した。

宇都宮は前半、長崎の持ち味であるトランジションを止められずに苦しむもサイズのアドバンテージを生かしたインサイドアタックで、相手をファウルトラブルに陥られせ互角の戦いを演じる。だが、後半になるとさすがに過密日程の影響が出てきたのか、チーム全体でプレーの遂行力が落ちてしまい、ゴール下のシュートを決めきれない。そして、長崎に確率良く3ポイントシュートを決められると対抗できず、一気に崩れてしまった。

同一カード連勝はならなかった宇都宮だが、この1週間は群馬クレインサンダーズと2試合、東アジアスーパーリーグ(EASL)でアウェーでの香港イースタン戦、さらに長崎と2試合と、8日間で5試合をこなした。さらに言えば、今回の長崎戦は香港でナイトゲームを戦った後の中1日での連戦という超過密日程だった。その中で、EASLはしっかりと勝ちきり、リーグ上位の群馬、長崎とそれぞれ1勝1敗だったのは見事な成績と言えるだろう。

チームリーダーの田臥勇太は、この激動の1週間をこのように総括する。「僕も長いキャリアの中で、こんな厳しいスケジュールで試合をこなしたことはなかったです。香港での試合後、翌日の夜に宇都宮に戻って次の日に試合でした。そんな中、長崎さんのようなタフな相手にゲーム1はしっかりと勝ちきれましたし、非常に収穫のある1週間だったと思います」

ゲーム1の宇都宮は、過酷な移動による疲労を感じさせない強度と集中力の高いプレーを出だしから継続して勝利をつかんだ。しっかりと戦う気持ちを作り、立ち上がりからそれをコートで発揮することは決して簡単なことではないが、田臥は「昨日に関しては、(竹内)公輔が試合前のミーティングで、『準備期間が本当にない中でも、しっかりとみんなでコミュニケーションを取っていけば絶対に大丈夫』とみんなの前で言ってくれたことが大きかったです」と振り返る。

そして、どんな逆境にも弱音を吐かず、苦しい状況を成長のチャンスととらえられるマインドセットができていると続ける。「言い訳をしようと思えばいくらでもできますが、そういう集団ではないです。実際は本当に大変ですけど、やるしかないです。こういう時こそチーム力、各選手の人間力などが試されますし、いろいろと勉強できたり成長できる部分は絶対にあります。だからこそみんなネガティブなマインドではなく、困難をみんなで乗り越えていこうと、ポジティブなマインドでいられるのは非常に大きいと思います」

田臥勇太

「ブレックスはどういうチームであるべきかを全員が意識している」

また、あらためて田臥は「香港にも来てもらっていて、昨日と今日も含めてファンの方はどこにいても本当に後押しをしてくださいます。皆さんの声援は、僕たちがどんな困難にも立ち向かうことができるエネルギーになっています」とファンへの感謝を強調する。

この1週間のプレーが示すように、宇都宮はどんな苦境に陥っても崩れることがない。この安定感を支えているのは、どんなマインドで、どんなプレーをするべきか、それをチーム全員が共通認識として持っているからだ。

田臥は語る。「みんな何が必要で、どんな考え方をしてやっていかなければいけないのか。ブレックスはどういうチームであるべきかを、全員が意識しているのは大きいです。だから、ちょっと違う行動をしてしまう時があったら、『ウチはこういうチームだよね』と選手だけでなく、コーチ陣も含めてみんなで言い合えます。そういうカルチャーができていて、今もみんなであーだこーだと言いながら、もっと良くしていくための方法を探している最中です」

そして、これまで積み上げてきたカルチャーを、昨シーズンから台頭してきた高島紳司や小川敦也、星川開聖ら若い世代の選手たちも、しっかりと受け継いでいると自信を見せる。

「若い選手たちも、このチームの選手としてどういうメンタルでやらないといけないかを理解し、プレータイムも増えていく中で本当に責任を持ってやってくれています。だからチームみんなが彼らをサポートしようという思いになりますし、若い選手たちはそれを見てもっと頑張ろうと思ってくれる。こうやってお互いが信頼し合えているのはブレックスの強さだと思います。若い選手たちは失敗をしてもいいので、いろいろな経験を積んで成長してほしいと心から願っています。彼らはすでに今のチームになくてはならない存在です」

宇都宮にはチームファーストの献身性、ルーズボールに絶対に負けない執着心、ハードワークなどを根幹した『ブレックスメンタリティー』と呼ばれるカルチャーが確立されている。この揺るぎないアイデンティティーがあるからこそ、宇都宮はどんな苦境に対してもブレることはない。

だが、田臥はこのブレックスメンタリティーも絶対的なモノではなく、時代の変化に合わせてブラッシュアップしていく必要があると考えている。

「ブレックスメンタリティーも、毎シーズンいろいろと状況が変わっていく中でもっと成長していかなければいけないです。芯となる部分を大事にしながらも、アジャストしなればいけない部分もたくさんあります。『これでいい』というものはないと僕は思っています。だからこそやりがいがありますし、プロセスを大事にしなければいけない。そして、この事を重要視してくれるメンバーが、今のブレックスには集まっていると信じています」

ここまで(リーグ最多)3度のBリーグチャンピオンが示すように、ブレックスは変わらない強さを示している。それができているのはチームリーダーの田臥を筆頭に、変わらない強さを維持するために、変わり続けることの大切さをチーム全員が理解しているから。EASLとの二冠達成へ向けてこれからも過酷な日程が続いていくが、苦しい時こそ成長のチャンスととらえる宇都宮に死角はない。