小酒部泰暉

アドマイティスHC「ポイントガードとして一分一秒を楽しんでいるように見える」

2月7日、アルバルク東京は敵地で千葉ジェッツと対戦。デイニアス・アドマイティスヘッドコーチが「ディフェンスの勝利」と語ったように、A東京は終盤に築いたリードを最後まで保ち75-73で逃げ切った。

この試合で攻守で存在感を放ったのが小酒部泰暉だ。恵まれた体躯を駆使しビッグマンとの1on1では一歩も引かず、終始タフなディフェンスを披露。攻めては13得点6アシストを挙げたように、しっかりゲームメークをしつつ、停滞した時には自ら得点を取りにいった。アドマイティスヘッドコーチも「我々が『ソリッドなチームバスケットボール』を構築する上で、彼の貢献は不可欠です」と称賛する。

「彼は非常にシンプルにゲームプランを遂行し、常に可能な限りの高いインテンシティでプレーしてくれます。どんなコーチでも『自分のチームに欲しい』と思うような選手です。数年間で彼がどれほど成長したかを見てきましたが、今の彼は日本代表の扉を叩く一歩手前まで来ている選手だと思っています」

大黒柱のライアン・ロシター、スコアラーのマーカス・フォスターに次ぐ、30分弱のプレータイムがその信頼の証と言え。指揮官が長所に挙げた「シンプルにゲームプランを遂行する」ことは想像以上に難しい。試合に敗れたチームの多くが「遂行力が足りなかった」ことを敗因に挙げるなど、頭を使いながらフィジカルに戦い続けることは心身ともに疲弊する。それでも小酒部はひょうひょうとこのように語る。「どのポジションで出ても、自分の役割を全うするだけです。スペーシングに関してはセットプレーの中でやっていることなので、『自分だから』というのはないですね。スクリーンだったり、みんながズレを作ってくれるので、自分はパスをするだけかなと思います」

テーブス海の離脱に伴い、小酒部はハンドラーを担うことが増えた。大学時代は生粋の点取り屋としてプレーし、Bリーグではタフなディフェンスを強みとする『3&D』プレーヤーとして評価を高めてきた。スコアラータイプのシューティングガードがポイントガードの役割をこなすことは容易ではない。小酒部も「最初は悩んでいる部分もあった」と明かす。「ポイントガードはゲームを壊してしまう場合もあるというところで、最初はミスを気にしながらやっていました」

しかし、現在は的確な状況判断を下しながら試合をコントロールしつつ、強みである得点力も発揮している。アドマイティスヘッドコーチはこの小酒部のチャレンジを優しく見守っている。「私が一番気に入っているのは、彼自身がポイントガードとしてプレーする一分一秒を楽しんでいるように見えることです。彼にとって非常に良い経験になっていますし、彼がこの役割を自分のモノにしようとしている姿勢を非常に好ましく思っています」

小酒部も実際に「楽しいです」と答えた。「山口(祐希スキル)コーチだったり、海も『普段通りやればいい』と言ってくれたので、あまりポイントガードっていうところは意識せずにやっています。何試合かやってきて、手応えは自分自身も見えているし、楽しみながらできているかなって思います」

ボールを保持することで持ち味を発揮するタイプの選手が多ければボールムーブは停滞してしまうが、ハンドラーを担える選手が多いことはチームにとってプラスでしかない。ファーストオプションを潰されたとしても、個の打開力を持ったハンドラーがいれば、二の矢三の矢を放つことができる。小酒部のハンドラーとしての成長は、そのままA東京の戦術の幅が広がることに繋がる。