
ペイサーズはマイルズ・ターナー退団の穴を埋める補強
トレードデッドラインを目前に控えた試合を『個人的な理由』で欠場することは、トレードの準備と見なされる。しかし、イビチャ・ズバッツが現地2月4日のキャバリアーズ戦を欠場したのは子供の誕生に立ち会うためで、トレードとは関係ないと思われていた。
しかし、トレード期限まであと1時間というところで、クリッパーズはズバッツとコービー・ブラウンをペイサーズに放出。ベネディクト・マサリンとアイザイア・ジャクソン、1巡目指名権2つと2巡目指名権1つを獲得するトレードを決めた。
1巡目指名権は2026年と2029年のもので、今年の指名権については5位から9位になった場合にのみクリッパーズに譲渡され、そうならない場合には2031年の1巡目指名権が譲渡される。今シーズンのペイサーズはタイリース・ハリバートン抜きで苦戦を強いられており、豊作揃いとされる今年のNBAドラフトでトップ4までの指名権が得られれば自分たちで使いたい。それ以降ならクリッパーズに譲るが、10位以降ではクリッパーズが必要としない。その間を取ってこの条件となった。
ペイサーズでは昨年オフに生え抜きセンターのマイルズ・ターナーがフリーエージェントで退団している。昨シーズンのアキレス腱断裂から復帰したアイザイア・ジャクソン、新加入のジェイ・ハフの併用では、その穴は埋まらなかった。ズバッツは現在28歳、昨シーズンにオールディフェンシブチームに選出されており、今まさにキャリアの絶頂期を迎えようとしている。クリッパーズがジェームズ・ハーデン放出を機にチームを再編するタイミングで、考えられる限り最高のセンターであるズバッツを獲得できたのは大きい。
ターナーに比べるとズバッツは3ポイントシュートがなく、ペリメーターでの武器があるわけでもないので、そのまま置き換えるわけにはいかないが、ペイントエリアでの攻守の力強さ、特にリバウンドではターナーを上回る。ズバッツは移籍したからと言って3ポイントシュートを求められはしないだろうが、ペイサーズのアップテンポなバスケに適応する必要はある。ここで多少の苦労はあるにせよ、ハーデンからハリバートンにパートナーが代わるピック&ロールは強力な武器になるに違いない。
ハリバートン不在の今シーズン、パスカル・シアカムに次ぐチーム2位の17.8得点を挙げているマサリンはクリッパーズに移籍することになった。2022年のNBAドラフト1巡目6位指名でキャリア4年目、23歳のウイング。優れた運動能力をベースに攻守に爆発的なパフォーマンスを見せるが、アイソレーションでは力を発揮するもののペイサーズのアップテンポなバスケに噛み合わないことも多く、ポテンシャル通りの力を発揮できていなかった。今年がルーキー契約更新のタイミングで、彼自身にとっても環境を変えるべきだった。
ペイサーズを率いるリック・カーライルは、チームのスタイルにマサリンを適応させるのに手を焼きながらも、彼の才能をずっと愛してきた。トレードが決まると指揮官はマサリンについて「直近の4試合で、彼はキャリア最高のプレーを見せた。好不調の波はあったが、それは若手なら誰しもそういうもので、飛躍に向けた準備は整っている。その場所はここでも良かったが、次のチームできっと素晴らしい活躍をするはずだ」と語っている。
ペイサーズはターナー退団から抱えていた課題をズバッツで解消し、今年の1巡目指名権が4位以内になるのを待ちながらハリバートンの復帰を待つ。一方でクリッパーズは、今シーズン6勝21敗という最悪のスタートから持ち直したこのタイミングで、ハーデンに続いてズバッツとチームの中心選手を放出した。昨シーズン開幕前のポール・ジョージ退団も含めると、カワイ・レナードを残してチームは解体されたと言うべきだろう。カワイを巡るサラリーキャップ回避疑惑はいまだ残っており、クリッパーズにとってはまだ試練が続きそうだ。