ビト・クレイチ

「これから信頼関係を築くのが楽しみだ」

今シーズン、トレイルブレイザーズは激しく泥臭いディフェンスでタフに戦うチームに生まれ変わった。しかし、デニ・アブディヤがエースに成長したものの攻めのバリエーションに乏しく、アブディヤに続く得点源であるシェイドン・シャープやジェレミー・グラントの3ポイントシュート成功率が上がらないのが悩みの種だった。

そこでローテーション外のドゥオップ・リースと2巡目指名権2つのトレードで、ホークスからビト・クレイチを獲得した。

クレイチは25歳のチェコ人ガード。16歳にしてスペインでプロデビューを飾った後、2020年のNBAドラフトで2巡目指名を受けたが、NBAに移る前にスペインで左膝前十字靭帯断裂の大ケガを負う。2021-22シーズンにサンダーでNBAデビューを果たすも、主戦場はGリーグ。翌シーズンからはホークスに移り、今が4シーズン目だった。

ホークスではベンチから出るシューターとして、過去2シーズンで3ポイントシュート成功率43.0%を記録。それまで平均3本程度だったアテンプトが5.2に急増した今シーズンも、42.3%と高い決定力を発揮してきた。

しかしケガがあったことで契約は4年1000万ドル(約15億円)と破格の安さで、今がその2年目。ビッグネームではないが、今まさに好調をキープしているキャリア5年目のシューターは、ブレイザーズにとって大きな補強になり得る。

ブレイザーズに合流したクレイチは「トレードは予想していなかったけど、ここのみんなと知り合うことができて良かったし、これから信頼関係を築くのが楽しみだ」と語る。

「僕は膝を大ケガした状態でサンダーに加入し、Gリーグでプレーして解雇を経験した。2ウェイ契約から出直し、本契約を手にした。道のりは険しかったけど、その過程で多くのことを学ぶことができた。ずっと支えてくれた家族には感謝しているし、僕自身のバスケを愛する気持ち、上達への意欲が道を切り開いたと信じている」

シューターとして期待されているのは間違いないが「僕はもともとシューターだったわけじゃない」とクレイチは言う。「NBAに入った頃は、むしろ3ポイントシュートは苦手だった。でも、何年もかけて技術を磨いてきた。以前は毎日1000本打っていたけど、ここ数年はできる限り試合と同じシチュエーションを作って200本を打っていて、それがシューターとしての成長に繋がった。それに、もともと得意だったのはドライブで、シュートが決まる今は相手がタイトに守ってくるから、ドライブもできるところを見せたい」

現地2月3日のサンズ戦、前日に合流したばかりにもかかわらずクレイチはベンチから出場して14分プレーした。オフェンスとディフェンスの簡単なセットを確認しただけで、コーチからは「情報を詰め込みすぎず、自由に楽しんでプレーすればいい」と言われてコートに送り出された。

3ポイントシュートを6本放って成功1本のみと不発に終わったが、まずは早々にデビューできただけで及第点。クレイチは苦笑混じりで「この48時間は本当に慌ただしかったからね。シュートの感触は悪くなかったのに、ことごとくショートした。でも、新しいチームメートと一緒に戦えて良かった」と話す。

ホークスでは活躍の場が限られたが、ブレイザーズは彼の3ポイントシュートを必要としており、この移籍を機にクレイチは大きな飛躍を果たすつもりだ。

「順応するのに多少の時間は必要だろうけど、みんな手厚くサポートしてくれているから心配はしていない。今日もシュートを外しても『大丈夫、打ち続けろ』とみんなが声を掛けてくれた。この環境にはすぐ馴染めると感じているよ」