ラメロ・ボール

指揮官の「我々の真価が問われる」の檄に選手が応える

ホーネッツvsペリカンズの試合開始から約3分、マイルズ・ブリッジズとブランドン・ミラーの呼吸が合わず、パスがそのままサイドラインを割ろうとしたところで事故が起きた。ホーネッツのヘッドコーチ、チャールズ・リーが何気なくボールに手を伸ばしたところに、ボールへとダイブしたラメロ・ボールが突っ込む。両者は額と額で正面衝突し、ラメロはすぐに立ち上がったものの額を切っており、ロッカールームへと下がった。

それでも彼は10分ほどで応急処置を済ませ、チームのために戦った。前半はペリカンズが優勢で、デリク・クイーンに15得点、トレイ・マーフィー三世に12得点を奪われ最大22点のビハインドを背負うも、その後はホーネッツらしいスピーディーなバランスアタックで巻き返し、102-95の逆転勝利を収めた。

指揮官リーは「間抜けなコーチの登場だよ」とおどけて試合後の会見に現れた。「ラメロは最後の瞬間まであきらめずにプレーを続けていたのに、私が気を抜いてしまったことで衝突した。私はボールが観客席に飛び込まないようにと思ったのだが、最後まで気を抜いてはいけなかった。ラメロが偉いのは、あそこで私を罵倒しなかったことだね(笑)」

「謝る私に対して彼は『すぐに治療して戻る』と言った。頭を打っていたのにその姿勢を見せてくれたのがうれしかったし、実際にすぐに戻って来た。ああいうアクシデントが起きても関係なくプレーを続けられるのは、彼の成長の証だと思う。特に大事な第4クォーターで、ドライブからのダンクはもちろん、泥臭いディフェンスでもチームを助けてくれた」

指揮官リーの言う「ドライブからのダンク」は、第4クォーター序盤にイブ・ミッシとのスピードのミスマッチを突き、トップ・オブ・ザ・キーから一気にフルスピードに加速して、そのままダンクを叩き込んだシーンだ。これでホーネッツは83-82と逆転し、その後はペリカンズにリードを許すことなく勝利した。

前半は完全なペリカンズのペースだったが、「ハーフタイムには『この試合は我々の真価が問われる』と選手たちに伝えた」とリーは言う。「この1カ月で高めてきた自分たちのプレーへの自信を頼りに劣勢を跳ね返した。前半はペイントエリアから30得点を許したが、後半は修正が効いて12得点に抑えた。後半を通して31失点は素晴らしい数字だ。ディフェンスの修正を必要とする場面で、選手たちが見事にこたえてくれた」

このところのホーネッツは、これまでとは見違えるような戦いぶりを見せている。11勝21敗で昨年を終えたが、1月は11勝6敗と巻き返して現在は7連勝中と絶好調。ホーネッツにとって7連勝は、ケンバ・ウォーカーの全盛期以来10年ぶりのことだ。

ラメロは『王様』をやめてボールをシェアするスピーディーなバスケの一要素を受け入れ、チームオフェンスを機能させるとともに持ち味である創造性を損なうことなく、特別な輝きを放っている。ミラーとブリッジズ、ルーキーのコン・クヌッペル、クリッパーズから加入して2年目のムサ・ディアバテの若いラインナップには勢いがあり、パット・カナートンやグラント・ウィリアムズが頼れる兄貴分としての存在感を発揮してもいる。

2日前のスパーズ戦は全国放送され、注目度の低いホーネッツが今の強さを世に知らしめる試合となった。ビクター・ウェンバニャマを擁するスパーズを相手に、終盤の接戦を制した試合で解説を務めたスティーブ・ナッシュは「このチームはプレーオフに進出するだろう」と予言している。

ホーネッツが最後にプレーオフに進出したのは、7連勝と同じく10年前の2015-16シーズンのこと。7連勝を果たしてケンバのチームに追い付いた今のホーネッツは、プレーオフ進出という夢も実現するのだろうか。