ドリブルムーブで観客を沸かせ、イケイケムードを演出
5月28日、横浜ビー・コルセアーズと広島ドラゴンフライズによるB1・B2入れ替え戦が行われ、横浜がB1残留を決めた。
細谷将司はヘッドコーチのゲームプランを忠実に遂行しつつ、自分の持ち味を出した。インサイドでアドバンテージを握り、速攻で突き放す展開に持ち込んで広島を圧倒した。
絶対に負けられない戦いを終えた細谷は安堵の表情を浮かべていた。緊張感や責任感は我々の想像をはるかに超えるものだったのだろう。細谷も「できればもう経験したくはないですね、本当に心臓に悪いので」と苦笑いを浮かべた。
それでもこのプレッシャーがかかる試合で、普段通りのプレーができたことは彼自身も満足している。「アグレッシブにリングにアタックするのが自分らしさ。それをこの大一番で出せた、最初から出せたことは自信になりましたね」
その言葉通り、細谷は19-8と圧倒した第1クォーターで5得点2アシストを挙げ、先制パンチを見舞った。終盤では勝利をあきらめない広島ディフェンスに、前線からタイトなマークを受けた。それでも細谷は落ち着いてその包囲網を突破し、ターンオーバーを犯すことなくゲームをコントロールした。そればかりか、巧みなハンドリング技術でステフィン・カリーのようなドリブルムーブを披露し、会場を沸かせた。
「練習でもやるんですけど、自然に出ちゃいましたね。(山田)謙治さんとバチバチやってる時はいつもやってるんで」と練習の成果がそのまま現れたのだと明かす。細谷のドリブルによって背中を押されたブースターは、最後まで横浜に大きな声援を送り続けた。
毎年ステップアップを遂げるも、成長意欲は衰えず
細谷は自分の長所を「アグレッシブさ」と自信を持って話す。レギュラーシーズンの平均8.5得点というスタッツは、ポイントガードとしてはリーグでも高い水準だ。「得点を狙いに行くアグレッシブさ、あとはスピード。僕が出た時はアップテンポなゲームになることを最後の最後で見せられた」
横浜は終盤に10連敗を喫し、残留プレーオフに回る羽目に。66試合目でようやくB1残留を決めたように前途多難なシーズンを送った。「振り返ると苦しいことばかりでした。でも、それが経験になって最後こうやって形に出たので、今はもう来シーズンが楽しみで仕方ないです」と話した。
栃木ブレックスの下部組織であるD-RISEから兵庫ストークス、つくばロボッツ、そして横浜へと毎年チームを変えながらステップアップしてきた細谷。この1年はB1の横浜で先発の座を勝ち取り、十分なプレータイムを得て、日本代表の重点強化選手にも選ばれた。「成長させていただいたシーズンでしたね。来季は決勝の舞台でここに立てるように頑張りたいと思います」と長かったシーズンを振り返り、さらなる成長を誓った。
長い戦いを終えて、ようやく迎えたオフだが、細谷はこの夏をアメリカでのトレーニングに費やすと明かした。意外にも海外に行ったことがないと言う細谷は、成長のスピードを緩めようとはしない。「初めての海外なので、また違う刺激を受けてまた何か成長できると思います。ひと皮剥けて帰ってきたいです」
Bリーグは全試合日程を終え、選手たちは束の間の休息を迎えた。細谷はプロバスケットボール選手になるために仕事を辞め、今こうして夢を叶えた。その高い成長意欲がある限り、細谷のサクセスストーリーはこれからも続いていく。